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2009年4月

2009年4月29日 (水)

Outliers 邦訳出版前に読みきるぞ 1日1章 その7

Outlier第二部「遺産」は、アメリカ南部出身者に残る好戦的な気質の検討から、成功には、前世代の生活に発して今も確実に祖先から受け継ぐものが関係していると指摘する第6章「ケンタッキー州ハーラン」からはじまる。

アパラチア山脈から続く山並みの狭い谷間が続く、ハーラン。なんとここまでグーグル・ストリート・ビューが来てるから雰囲気がなんとなく伝わってくる。

かつて英国北部からの入植者がこのあたりで放牧をしていて、ナメられたら仕事にナラヘんということだろうか。侮辱されたら報復する気質、「culture of honor」が支配的で、家族間の反目が世代を超えて繰り返すようなことが広く見られたとする。

そのした気質のようなものは、今の世代にも受け継がれ、他のあらゆる属性を超えて、出身がどの地域であるかということが、その人物がどう行動するか決定付ける要因ともなるという。

確かに日本でも、謝るのはタダやと、関西の人は余計な摩擦をさけるだろし、食わねど高楊枝みたいな余計な見栄は関東の文化だろう、なんてここまで言ってしまってから、あ、これもステレオタイプで、そういう傾向が本当にあるか確かめたことではないなあと気づく。本人の気質もさておき、周囲の人が出身地からそういう色眼鏡で見ていて、あ、やっぱりそうなのねと、勝手に認識を『強化』してしまうような。これも言ってみれば、「遺産」の一面なのだろう。

それにしても、『偏見』と揶揄されそうなあぶなっかしい見解を、オブラートに包まずはっきりと、これでもかこれでもかと繰り出してくるあたり、溜飲が下がる思いなのだ。

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2009年4月28日 (火)

ロバート・ラングドン教授とASAPで会える手頃なチケットは

ハーバード大学教授、宗教象徴学専攻、ロバート・ラングドン教授の最新のご活躍を伝える書籍が9月15日に世界同時リリース、ってことになってるようだ。

さすがにダ・ヴィンチ・コードの後じゃスランプにもなるわな、絶対、と勝手に思ってたのだが、どうしてこうしてしっかりと、『天使と悪魔』、『ダ・ヴィンチ・コード』に続く、『The Lost Symbol』が出版待ちになってる。邦訳を待つ手はないね。ミーハーとの揶揄を喜んでひきうけて、原書で読みますよ。

だけど、この価格はなんだろう。ハードカバーの現地価格$15が国内3千円弱なのに、電車で読めるペーパーバックは4千円近い。完璧に足元を見られてますな。PDFファイルを千円ぐらいで売ってくれるとすごく嬉しいのだが。著者さんも出版社さんも、そっちのほうが儲かると思うのだが。

映画化のほうが先に決まってるというのに、原作のほうは、さわりすらリークされないとはね。

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Outliers 邦訳出版前に読みきるぞ 1日1章 その6

2部構成のOutlierの第一部「好機」の最後の章は「ジョー・フロムの3つの教え」。弁護士として大成功するまでの、ユダヤ系移民の3世代にわたるアメリカ史。そして行き着く結論はまたぞろ誕生年、ここでは1930年だ。

その3つの教えが「ユダヤ人であること」「新生児の少ない世代に生まれること」「服飾産業と意味ある仕事」。これだけだと意味不明だが、著者が意図するところは、民族的な不利をバネに誰もが手を汚すのを避けるようなヤバい仕事を躊躇せずに金のなる木にしてこれたこと、団塊の世代の逆で同年齢の人が少ないと教育をはじめ優れた公共サービスを受けやすいこと、そして移民でも頑張って工夫すれば使役されるに終わらずに自分の事業として成功できる産業が存在したこと、ここではニューヨークに集積していた服飾産業だ。

ここに登場する大規模法律事務所だが、ネットで調べてみると、世界最大にして最も悪辣だとか書いてる人がいたりする。合法的だが手段を選ばず、ひたすら儲ける、ということのようだ。なにやら、昨今広く認識されるようになった市場原理主義の害毒と似たトコがあって、ああ、そうゆうことねと、妙に納得してしまう。

だけど、これがOutliersなのか、これが著者のいいたい成功なのか、成功の背後には必ずダークサイドがあるというのが、言わずもがなの暗黙の了解となってるのか、微妙な後味で第一部を読み終えたのである。

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2009年4月27日 (月)

Outliers 邦訳出版前に読みきるぞ 1日1章 その5

この第4章「天才にまつわるトラブル その2」、読んでて気が滅入ってくるのは、残酷な指摘だけど真実を抉っているぞと心の底で共感してるから。

知能指数だけでは成功はおぼつかない。重要なのは、家庭で教えられる生きるための知恵。あけすけに言えば、出自。しかし、血筋のことではなく、教育に関する家庭での関心の度合いと習慣。「concerted cultivation」、米国の中上流階級の家庭で実践される教育方法だ。

エスタブリッシュメントの人々を前にしても、空気を読んで、語るべき人に、然るべき方法で語り、自分が対等の存在として認識されるよう、しっかり説得すること。これが実世界に生きるための知恵だ。

対照的な生き方の天才2人、恵まれた家庭に育ってなんだかんだで結局思うとおりのキャリアを生きたロバート・オッペンハイマーと、貧しい家庭に育ち天才たる資質を活かせずじまいとなっている人物を対比した。結局、階級は維持される。後味がすこぶる悪い話。だが、それが真相なんだろうな。誰も教えてくれない。コミュニティの侮りがたい影響。

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Outliers 邦訳出版前に読みきるぞ 1日1章 その4

知能指数が高いと言っても、ある水準超えるとあとは一緒、という話が第3章「天才にまつわるトラブル その1」。

大学入学でマイノリティに認められる優遇措置、アファーマティブ・アクションを、最近見直す動きのあることは、NHKの番組でも紹介されていた。しかし、このように試験成績が少々劣るマイノリティの学生が、本書によれば、追跡調査をしてみると、他の学生とまったく同じように社会的な成功を得ているという。

一方、知能指数の抜群に高い学童について、追跡調査してみると、意外に成功に到達していない。成功に必要なのは、むしろ創造性だ。答えが一つに定まる試験(コンバージェンス試験)でわかる能力ではなく、発想の豊かさを試す試験(ダイバージェンス試験)のほうが、実世界の成功をつかむ能力をうまく言い当てることができる。

なにやら、受験戦争を勝ち抜くスキルでは、グローバル競争には勝てませんよという、滅びつつある日本の学歴ピラミッドにトドメのミサイル発射される、って印象を勝手にもった。

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Outliers 邦訳出版前に読みきるぞ 1日1章 その3

続いて読んだ第2章一万時間の法則では、飛びぬけた成功者の背後には必ず人並み外れた努力の集積期がみられる。芸術にせよ科学にせよ、幼少期よりその課題に集中する時間が累積一万時間を超えたあたりで花開くと指摘される。

根拠となる実例として、ビートルズはハンブルグで連日8時間にわたる演奏を繰り返し、ビルジョイも、ビルゲイツも、高校や大学時代、計算機センター等でプログラミングに入り浸り、モーツァルトは21歳を過ぎた頃から驚異的な作品を作るようになったと紹介されており、そこに共通の法則として、一万時間の集中的な鍛錬の期間があったという主張ごもっともと印象付けられるトコ。

さらに、人類史上もっとも富んだ人々に、19世紀中盤の9年間に生まれたアメリカ人という共通点をもつ十数人が実名で紹介されてます。鉄道が敷設されウォール街が誕生するなどアメリカ最大の変革期と、革命を牽引する適齢期(一万時間後、ですな)が合致した という。

同じように、コンピュータの黎明期に革命の担い手となった成功者の誕生年は、1955年を中心に数年に集中する。Sunの創業者4人、マイクロソフトの創業者二人と現CEO、アップルやグーグルの現CEOがその例であると列挙される。

成功の秘訣が「正しい時に正しい場所にいる」ことであるというのはよく耳にするところだ。日本のITベンチャーでも孫さん達の第一世代、三木谷氏らの第二世代、など、誕生年に特定の傾向のあるようなことは報じられてきた。

だけど、例えばSunを今回買収することになったオラクルのラリーエリソンは1944年生まれで1955年法則から10年も外れてて、だから例外無き法則ではない。また逆にいえば、敢えて法則と呼ぶほど意外な関係でもない。

「B型自分の説明書」みたいなコジツケ感を楽しむトコでしょうか(違うでしょうな)。

日本のITベンチャー第一世代とアメリカ1955年組は年齢層がばっちり一致(いや2年ぐらい遅延時間か)している。マイクロコンピューター革命の時期に大学入学の時期が合致し、プログラミングにのめりこむ最初の世代となった。となれば、先行逃げ切りできる千載一遇のチャンス。安定というぬるま湯にどっぷり漬かる前、失うものも無い若いうちなら、飯より好きなことでの起業は視野に入るところだろう。

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Outliers 邦訳出版前に読みきるぞ 1日1章 その2

今日読んだ第1章マタイ効果では、スポーツでも学業でもそうだが、幼少期に年齢ごとにグループを作る結果、誕生月による数ヶ月の成熟度の差が『選抜』に決定的な効果をもち、これが将来まで決定的に影響する という主張がなされていた

例えば1月1日の年齢を根拠に学年グループを作る社会なら、年末近くに生まれた学童は10ヶ月程までのハンデを負うこととなり、逆に成熟した学童は訓練の機会に恵まれ、その能力差はどんどん拡大してゆく というそんな現象が実在するのかと驚かされる。

これは『マタイ効果』、すなわち、持てる者はより富み、持たざる者はさらに収奪されるという、新約聖書マタイによる福音書に書かれた有名な言葉が示すとおりの現象となっているというのだ。

日本でも『早生まれ』のメリット・デメリットが語られることはあるが、国家による英才教育なるものが普及した文化圏ならいざしらず、能力開発が各家庭に任されている状況では、幼少期の社会的『選抜』が人生においても決定的ということにはならない。むしろ各家庭の経済状態や教育への理解といった要因のほうが決定的となる。それが幸福な社会の要件なのかそうでないのかは微妙なところではあると思うのだが。

義務教育の段階で教育の機会がほぼ平等に保証されている社会においては、むしろ成熟度における10ヶ月のハンデは、『いじめ』のターゲットとなる原因に化けてしまうほうを懸念すべきかもしれない。もっとも、最近のオコチャマは発育もいいし、英才教育は早ければ早いほど効果ありってことだろうから、合計すると色々相殺されて、日本ではあんまり影響なし、ってことになるような気がする。

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それにしても、なぜ勝間さん訳なのか。マルコム・グラッドウェルの新作で、全米ベストセラーなんだから、他の訳者でも本は売れる。もともと読みやすい本だから訳者で差はでにくいだろうし、と。

だけど考えてみれば、やっぱり、マルコム・グラッドウェルは米国の人気者、世界でもセレブ、しかしガラパゴス的ニッポンでは知名度イマイチ。部数的に、日本での売れ筋本とは大きく異なりますので、てなトホホな事情なのだろう。

かくして、この訳書は勝間本として数多く売られ、しかもマルコム・グラッドウェル的啓蒙効果あって、しっかと、ビジネスマンのお役に立ってしまうのだ。

そしてさらに、勝間さんは訳書の前後にそれなりにご自身の考えを述べられるだろう。どんなコメントだろう。実は興味津々。原書を読んでも、復習をかねて、勝間訳書を手に取るだろう。出版社さん、ほんまに、商売上手です。

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2009年4月26日 (日)

Outliers 邦訳出版前に読みきるぞ 1日1章 その1

まず最初に読んだのは、序章「ロゼートにおける健康とコミュニティの意外な関係」について。そこでは、ペンシルバニア州の東端、もうちょっとでニュージャージー州というところにある、イタリア移民の町、ロゼートが紹介され、そこに暮らす人々の驚くべき健康、病気にならずに天寿を全うできる秘訣は、コミュニティにあると結論づける。

※この話は本書が初出というわけでもないようで、『寿命を決める社会のオキテ (進化論の現在)』(リチャード・ウィルキンソン著)にも紹介されているそうだ。

同じように、成功者の『成功の秘訣』について、明らかになっていない因果関係を解明してゆきますよと本書のゴールを明示。

ロゼートでは、三世代同居の暮らし、坂道が多く、人々は話し好き。55歳以下に心臓病での死亡例が無く、65歳以上でも全米平均より顕著に良好という。

さらに、消化器を専門とする医師スチュワート・ウルフ(オクラホマ大)が、住民全員を調べた結果を紹介し、出自は同じ南イタリア、食べ物もラードを多用するし、環境も周辺の町と大差ない。秘訣は遺伝でも、食事でも、気候でもないと判明したのだ。

ある社会現象に関する予想外の因果関係を明らかにするというのは、最近ではベストセラーとして『成功』するための秘訣になっているような気がする。ビジネス書の読者層、ナレッジ・ワーカー層がそういう著作を好んでいるのだ。

同著者の既刊『Tipping Point』では、『爆発的に流行する』現象に説明を与えた。定量的に証明しなくても直感的に『あるある』と感じることはある。一方、あの『やばい経済学』。こちらは徹底的にデータに語らせる。それはデータマイニングに他ならないのだが、要するに統計であり、しかし統計は扱い方によって『嘘』の道具にもなる。定量的分析がすべてではなく、定量的にわかることが面白いことかというとそうでもない。

Outliersと呼ぶべき飛びぬけた成功者を語るだけに、統計の母数といえるほど数は集まらない上、不可避的に特異点ばっかり。そうすると、因果関係を解き明かすのも著者の『洞察力』、納得するのも読者の『理解力』に頼るという、なんとも属人的なことになるのか。いずれにせよ、『強く念ずれば夢はかなう』とか『引き寄せられる』てな、「やっぱりそうですか」的なガッカリの結果にはならないだろうという予測、これは前作前々作で作られた著者への信頼、ということなのだろうと思う。

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『Outliers』(マルコム・グラッドウェル著)は、読んどかないと恥かく種類の、『必読書』みたいなポジションなのでしょう。だけど原書を読むのはやっぱり面倒。うちでも買ってしばらくツンドク状態。

そういう本だから、いずれ邦訳は出るわけです。しかし訳者が勝間和代さんとは、出版社さんの「絶対勝つ」という決意がひしひしと伝わってきます。こうなれば意地でも、自分は原書でゆく、そう意気込むというのも天邪鬼。

邦訳『天才!成功する人々の法則』は来月(5月14日)に出版。賞味期限切れとなる前に片づけるには、このゴールデンウィークが最後のチャンス。全9章+はじめに+おわりに、計11日で読破するプラン。

前作『ティッピング・ポイント』と『ブリンク』は邦訳を読んで、知識は右から左へ、超高速で揮発完了。図書館の力を借りて大量に本を読むから、FIFOの原理、最初に学んだものを最初に忘れるの法則。一つ学習すれば、しかしきっと2つ忘れている。

全米ベストセラーの読書感想文みたいなもんをチンタラ細切れに書くというのも、よろしくないブログの使い方ではあるけど、その一方、記録することで気づくこともあるに違いない。公開に相応しいか、それはさておき。

読んだ結果の瞑想も妄想も脳内まとめてダンプする、そのぐらいのつもりで、ログを残してゆこうと考えております。

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