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2007年5月

2007年5月31日 (木)

黄砂も化学兵器に見えるようでは

日本人が読んだらショックを受けるぞと、米国通で知られた日本人ジャーナリストが紹介していて気になっていた本が、早速邦訳されて登場。今が旬。

SHOWDOWN(対決)―中国が牙をむく日 Book SHOWDOWN(対決)―中国が牙をむく日

著者:ジェド・バビン,エドワード・ティムパーレーク
販売元:産経新聞出版
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現在の緊張関係を見れば、今年の夏に何か飛んできても不思議はない。蚊ではない。黄砂でもない。終戦記念日あたりに巨大な花火だ。本書では来年の大統領選あたりの出来事として描いているが、その時間軸感覚も結構妥当なものかもしれない。

しかし結局、大量破壊兵器ではなくて、『あちら側』の技術で戦況が決するという話にもってゆくか。有り得ないて。あんたの国のセキュリティ担当はそこまで唐変木じゃないて。

気になるのは、わが国。国家の中枢を担うシステムにも平気で『最先端のVistaを使ってます』なんて嬉しそうに説明するのはまだしも、コスト競争のあげくに、かの国にソフトウェア製造を丸投げしてる懸念は拭い去れない。ソフトウェアの試験は、想定内の条件で正しく動くこと、これが基本と思われている。だが、あらゆる状況で想定外の挙動を示さないこと、その試験はそもそも難しい。だから、製造側で悪意あるコードを埋め込まれる可能性は払拭できない。

だから、国家の安全保障を脅かしかねない中枢システム、国防以外にも東証のシステム等も含まれる、そのシステムは、ナショナリズムだ非関税障壁だ血税の無駄遣いだと外圧がバンバンかろうと、純正日の丸チームで開発・運用・保守しなければならないのだ。さもなくば、本書が示すとおりの潜在的セキュリティホールを内在させる可能性大となる。

ところで、本書は、読み物としては、あまり面白くないかもしれない。ビバリーヒルズ白書というか、なだぎ武と友近がやってる、わざとらアメリカンのかけあいを彷彿とさせる。国際衝突のシミュレーションに価値があるわけで、トム・クランシーのようなエンタメ本を期待しちゃ駄目。

しかし考えてみれば、地下資源が全然無いというのは、この期に及んでは、最大のメリットかもしれない。あの国では、侵略の旨みが皆無と判断するだろう。攻めてもそこには大量のヒトしかいない。それも、メンタリティはいわゆる武士道。金じゃ動かん奴も多いし、世界に流出して復讐のときを待つ、なんて、対イスラムの話か、もうひとつのイスラエルか、日本沈没第二部の世界か。

ないない尽くしも抑止力。

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2007年5月30日 (水)

喜ばれるサービスは設計で勝つ

NHK朝のテレビ小説「どんど晴れ」が面白くなってきた。

大河ドラマも朝のテレビ小説もほとんど見てこなかったが、今回だけはハマッた。みなとみらいが舞台の一つであって親近感もあるのだが、物語がわかりやすくて美味しい要素がうまく組み合わされているという、ニクいばかりの『設計』が勝因だろう。疲れたアタマには、こういうハリウッド映画のような勧善懲悪・年功序列・明日は晴れる、そんな世界が嬉しいのだ。

おっかない経済評論家の女史の御子息を楽しませようとヒロインはサービス精神フル回転させたあげく、その子がアレルギーをもつ蕎麦を含む団子を口にする結果となり、訴訟を起こされる。当初のぬるい進行からは想像もつかない本格的大ピンチ。

サービス業でも、危機管理が重要。クレームの原因を作らないこと、クレーム対応を誤らないこと。サービス業のノウハウ本である本書では、クレームへの考え方についても、多くのページがさかれている。

売れるサービスの仕組み―おまけや値引きはサービスじゃない! Book 売れるサービスの仕組み―おまけや値引きはサービスじゃない!

著者:高萩 徳宗
販売元:アスカ・エフ・プロダクツ
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商品を売るなら、安売りは限界があるのだが、サービスそのものを売るとなると、価格は底なし、無料で提供しようという業者すら現れることがある。もちろん、短期的に客を奪うためで、長期化すれば自滅するから、その前に競合を殲滅できるかが勝負の分かれ目。ちょっと考えれば自分で自分を消耗させてるだけなんだけど、その誘惑もわからないわけではない。

でも、それはサービスになってないと、本書では喝破する。付加価値がサービスなのだと。痛いところを突いてくる。確かに値引きやおまけでブランドは出来ませんわな。いや、グリコのおまけという例外はあった。

どのサービスがお客様に付加価値として喜んでいただけるか。サービスの設計ということだろう。適正な利益、危機管理、こうした要件を満たす解を見つける『設計』は経営者の仕事だが、専門のコンサルタントの支援を仰ぐ手もある。旅館再生ということであれば、松葉啓氏、高名なコンサルをテレビが追跡取材していたことを記憶する。ほとんど常勝らしい。加賀美屋さんも、ひとつ、どうだろうか。

サービス業も奥深し。

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2007年5月29日 (火)

アントレプレナーズ・ハイ

シリコンバレー型のベンチャーは、士業型の起業からは生まれない。リターンが大きいからリスクは覚悟で吊り橋だろうと渡り始める生き方もあれば、絶対に崩落しないと確信するまで堅牢な石橋だろうと見送る、ローリスク・ミディアムリターンの考え方もある。

週末起業というのは、リスクミニマムの戦略。とりあえず食えることが最優先なら、こちらを選択すべきだ。この本は、賢明な選択をしようという大人のビジネスマンが、さらにリスクを小さくして起業できるようアドバイスする本。

だから、ヒルズ族のような華々しい話は、ごく一部の人だけの成功物語と、読者の頭を冷やしといてから、ぐっと現実的に、個人事業から小さい会社までの規模でず~っと生き残るスタイルの起業の心構えを解説する。フリーランス型、士業型、下請け型、どれもとりあえず食える。しかし大きくはなりにくいDNAかもしれない。

ちょっと敷居を高くしすぎてる傾向もあって、ほんとうはあなたも、起業を思いとどまらせて欲しいんでしょ、そういう人はサラリーマンを続けるのが一番、そう言って、賢明な人生のための『選択しないという選択』を肯定してくれる本でもあるのだ。

なぜあの人は会社を辞めても食べていけるのか? Book なぜあの人は会社を辞めても食べていけるのか?

著者:藤井 孝一
販売元:クロスメディア・パブリッシング
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この本では、起業家はライフスタイルだと看破する。だが、金も人脈も経験もある人、特にシリコンバレーのエンジェルは、ギャンブルみたいなノリで派手に自分でも起業する。別に失敗しても財産がちょっと減るだけなのだ。痛くもかゆくもない。が、成功したときの達成感、充実感、幸福感は、他では得られない至高の『快感』と知っている。脳内にβエンドルフィン充満するアントレプレナーズ・ハイ。こういう起業家にとっては、やっぱり起業家というのは職業なのだ。

ないない尽くしで起業する日本の多くの起業家の場合、快楽もへったくれもなく、起業とはサバイバルそのものになってしまう。でも、失敗したらまたサラリーマン、これでいいのだ。逆に、退路を絶つからおかしな話になる。数値的に退却線を決めておいて、その線を踏んだらゲームオーバー、事前に次の仕事の目処までつけて、備えあれば憂い無し。

退路を用意できないなら、やめとくか、あるいは本当に負けるとヤバい勝負に確信犯で挑むか、ということになる。守るもののある人は絶対やめときましょう。

まあ、しかし、この本を読むにつけ、成功の秘訣は、成功するまで失敗を繰返すことなんだと再認識する。商いは『飽きない』こと。試行錯誤を安全に超高速で繰り返せる環境の確保、これが絶対必要だ。

ローリスク・ローリターンでロープロファイルのまま行く戦略もいいが、七転八倒でミディアムハイあたりのリターンを狙ったトライアルを機関銃のように繰り出す戦略のほうが、終ってみれば実り多い人生という結果になりやすいような気もする。あくまで失敗が何度だろうと許容されればという前提での話しだが。

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2007年5月28日 (月)

いくら考えても凡庸な結論に至る理由

自分でやってて時間の浪費のようだねと気付いてはいるのだが、なかなか止められないこと、悪い習慣と言って間違いなさそうなこと、それは、ビジネス書を濫読することだ。

著者は善意で本当にそう思ったことを書く場合と、本を売らんかな、読者が読みたいことを心にもないくせに刺激的な表現で書く場合とがある。前者は、書かれた瞬間に公知となって、真似しても手遅れ。後者は、まさに罠、真似すれば大火傷にもつながる。

こうした出版側からは絶対出て来ない事情を、漫画チックに伝えてくれている本。そういう価値ある本のはずが、面白くしようとサービス精神を見せたまではいいが、空回りしてシラケ鳥飛んでく気分になるのはご愛嬌。(こちらの表現もお寒い限りだ。)

さおだけ屋はなぜ潰れたのか? Book さおだけ屋はなぜ潰れたのか?

著者:池田 浩明
販売元:竹書房
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こういう軽佻浮薄なスラプスティックを好むのは若年層だが、ビジネス書のお得意さんはミドル層とそれ以上。表面上シリアスで展開がハチャメチャな方がビジネス書のフィールドには相性がいいのでは。例えば、筒井康隆氏のテイストで『国家の品格』を糞味噌に論ずるなんて、ものすごく面白そうではないか。

細部に小技を散りばめてコマカくオモシロいのだが、ビジネス書の読者が950円払って1時間以上付き合って満足できるかは疑問なので、お勧めはしない。ただ、例えば本書でも紹介されるようにブックオフで買うとか、平塚中央図書館で借りる方法をとるのなら、洒落で済む、怒る気にもならんだろう。

ただ、ネット起業で苦しんでいる、あるいは苦しんだ経験のある人なら、アドセンスのくだりにはいたく共感するのじゃないか。広告スペースを提供してる側が自分でクリックしてれば、バレてアカウントを強制削除されてゲームオーバー。広告を出してる側では、クリックしてもらえないと単価が暴騰していって、はっと気が付くと膨大な料金がクレジットカードに請求されていて予算超過、ジ・エンド。それならばとSEO(検索エンジン最適化ね)にリキを入れると、突然スパムサイト認定されて検索結果にまったく表示されなくなって、こちらも営業終了。

アドセンスで30万なんて、100人に1人もいやしない。儲けの額もロングテール分布。この本だって、ネット広告収入の都市伝説を撒き散らすのに、知らず知らず片棒を担いでいる。

同じもの食ってりゃ体質も似てくる。同じもの読んでりゃ、考え方が似てこないほうが不思議。自分では十分考えたつもりでも、やっぱり他の人も同じことを考えていることは疑うべきだ。百万部売れましたなんて本はむしろ後回し。どんな内容だったか人に聞けば済む。もっとニッチな、全然売れてないけどアイデアの種満載、そういう本を探すべきだ。

他人と違うアイデアで勝負する。そのためには、アマゾンのビジネス書ベストセラー100の本ばっかり読む、そういう習慣は改めなくてはならないのだ。

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2007年5月27日 (日)

湘南よさこい歩いて見れば

関東では「流し踊り」は珍しいそうである。平塚の湘南よさこい では、七夕のメイン会場でもある湘南スターモールを使い、各チーム5回の演舞が行われた。500mの直線。これを贅沢と称賛していたチームもあった。そのスタート地点付近で、すべてのチームの流し踊りを見た。

よさこいは初めて見るが、こんなに面白いものだったとは。自分も踊りたくなる。

さて、流し踊りの移動のペースはかなり速くて、定点観測だと全貌を見ることができない。そこで、各チームの移動にほぼ同期して自分も動いてしまうことにした。追っかけである。英語(?)でパパラッチである。まだびっちりと混むわけでない湘南よさこいだから出来る芸当だ。

そして細部に神宿る。沿道の観客にとってチームの全貌を俯瞰することが容易ではない流し踊りでは、至近距離で見るミクロ視野のインパクトが全体的な印象の善し悪しに繋がる。一方、審査は別会場の定点踊りだけで決まるのだろう。表彰された6チームは文句なしの出来だ。だが、流し踊りを見る限り、他にも、勝るとも劣らない完成度の高いチームが幾つかあった。審査団も紛糾して最後はエイヤーッって決めざるをえなかっただろうと、素人ながら想像する。

本日の入賞チームは次の通り。 ※ 全35チームの紹介が公式サイトにあります。

優勝 祭WAIWAI横浜
金賞 森本連ジュニア 疾風乱舞
銀賞 パワフル
がなり大賞 よさこい舞友伝
フラフ大賞 伊豆稲取温泉よいさかどっ恋
鳴子大賞 乱気流

そして、まことに勝手ながら弊社「ねっと猫の手」から下記のチームにバーチャルではございますが特別賞を贈り、称賛させていただきます。 ※ 称賛という無形の敬意であって、物理的な賞品はございません、あしからず。

ビジュアル大賞 子鳩子兎 横浜百姫隊

さらに勝手な印象など言わせていただく。

祭WAIWAIは旗振りが圧倒的迫力。1人で操る2枚の巨大旗、シンメトリーの美。流し踊りも印象的だったが、優勝者としての定点踊りは、流し踊りと一見全然違うアレンジで、舞台芸術の香り。

森本連は大人チームもすごかったが、ジュニアは動きが機敏だ。楽しそうに踊ってて要所をキッチり同期させる均整美。パワフルは道路をダイナミックに使って縦以外の動線を作り、踊りは強烈な個性、雰囲気から自由な発想を感じさせる。百姫隊は踊りも楽しかったが、衣装や雰囲気作りで隅々まで配慮が行き届いていて、洗練された美意識を感じさせる。

他にも、完成度の高さを感じさせるチームがあった。例えば、K-one動流夢は場慣れした風格のようなものを纏っていた。今回は上位グループの層が厚かったのではないか。他の地域のよさこいもそうなのだろうか。現在500以上の祭り/イベントがあると言っているチームがあった。平塚をベスト20に入れようと。え、これでもまだ20に入ってないのか。トップクラスはどんなのだ。高知や札幌だろうけど、俄然興味が湧いてくる。

さて、今回は、ハプニングも色々。まず、はしか大流行の影響で演舞を自粛したチームがあった。会場は確かに人混みであるわけで、平塚市を爆発的感染地域にせぬよう、なるほどのリスク対策。また、終盤、観客に急病人が出て、救急隊が出動した。チームを退避させ、救急車が会場内に急行・病人搬送した手際のよさは、万全の態勢の存在を感じさせる。

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水蛇を生む美意識の罪

初夏の週末、鵠沼海岸駅の周辺を歩く。街並みが洗練されてきたのに加え、歩く人たちが垢ぬけた空気を発散していることに気づく。それまでは日焼けした顔が主役だったが、アングロサクソンの肌の色を思わせる顔色の女性達。化粧の下は、あどけないエイジアンなのだが、白い顔の人達が湘南の海の近くを歩いていることを忘れさせる。

華奢な肢体、都市に生活する人達の雰囲気。生物的な健康のバランスに抵抗して維持するのは大変だし、維持しがたいから価値があるとも言えるのだが、生存の危機にすら陥れる由々しき風潮と牽制する西欧のモデル業界の動きもあった。

男でも太りやすい体質の奴はいて、噛み吐き、という行動に出ることはある。それで痩せれば自虐的に腔腸動物と揶揄したくもなるだろうが、そこまで徹底できずに飲み込むから、ヒドラという言葉を思いつくこともない。ハイドラといえば9つの頭を持つ不死身の大蛇、ヘラクレスに退治されるというギリシャ神話をまず想起する。

ハイドラ Book ハイドラ

著者:金原 ひとみ
販売元:新潮社
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主人公早希が読む小説『水蛇』はすなわちハイドラ、現実世界と入れ子の構造も面白い。仮に蛇姫様をとりまく現実の関係を暴露した類のものであるなら、明かされる相方の方はたまったものではなかろうけれど、これは邪推にすぎない。

文字が空想空間にするすると入ってくるのは、文字とイメージの関係を知り尽くして書かれた証拠。書き手の筆の力を思い知らされる。

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2007年5月26日 (土)

賢人による成功法則、いまむかし

東海道本線、辻堂駅を出て、まもなく藤沢、引地川を超えるあたり、江ノ島が姿を現した。島の上部と展望台が大きくはっきり見える。何十年も湘南電車に乗ってるが、そこまで視界が開けていることに今さらのように気づかされる。

バイアス。心の状態によって、人の感受性は変わる。たまたま水平線方向に意識が向いていたからこそ、そういう発見があった。普通は本を読むか、景色もぼーっと見てたり、手前の街並みに視線は行きがち。天気が良くて、実は江の島方面での用事に向っていて、頭の中ではそちらの方角をイメージしていたから、視野に飛び込んできた光景だと考える。

このように、バイアスによって、人の感受性は変わる。メンタルを整えると人生の成功確率が変動することは、もしかしたら説明の要無く明らかなことかもしれない。

さて、茅ヶ崎駅ビルのラスカ5Fには、川上書店がある。そのレジ横に、「賢人の知恵」という白くてぶ厚い本が山積みになっていて、気にはなっていた。それを、寒川図書館で見つけて、「衝動借り」して読んでいるところだ。

成功法則という意味では、The Secretが、一通り目を通した後で熟読のフェーズ。両者は結構似たところをめざしていること、今はなんとなくわかる。「賢人の知恵」は、歴史上の聖職者が書いたわりには、博愛、なんてことを世の人に求めない。至って利己的に自分のことばかり考えて生きることを勧めているようにも読めてしまう。

しかしそれは、フツーの人々が身を守るための便宜。幸福に現世を生きるために、有効なアイデアばかり集めた240日分の日めくりカレンダー。

400年前に「賢人の知恵」を書いたグラシアンは、スペインの聖職者にして作家で哲学者。「趣味」概念を提唱したと知られ、この考え方は本国よりフランスで受け入れられた。その尖った人が書いた、フツーの人向けの人生訓。

この本を読んだだけでは、グラシアン氏の本当に言いたいことは把握できないのではないか。そこで、氏の作品を広域を含めた各図書館で探してみると、茅ヶ崎図書館にだけ、「賢者の教え」なる本が所蔵されている。結構やるじゃん、茅ヶ崎。

そこらへんの調べものも含め、もうちょっと背後関係をチェックしてから、この「賢人」関係は記事にしたい。もちろん、The Secretについても近々アップしたい。

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2007年5月25日 (金)

行きつ戻りつ、皮脱ぎ蝶放たれる

男だか女なんだかユニセックスなヒトが表面的「美」なんてものの価値をわしゃ認めんぞと否定したかのように素っ気なく生きる。

「はりせんぼん」のお二人(失礼!)をイメージしながら読んでしまった。

乗ってのも世界で一番醜いクルマ・ムルティプラっていうから、その写真をググって確かめ、アノ妙チクリンな奴かと思いだす。

徹底的に壊れて歪んでセピアどころか黄色くなってしまった世界。どうでもい~いですよ、ハヨオワレと投げやりな気持ちにもなってくる。

だけど、最後まで読むと、こりゃ驚きますわな。

短編を7つ並べただけだと思ったら、全然違う。言ってみれば、七枚の鏡。なぜかは読んでのお楽しみ。最後には、ハートがじんわり温暖化現象。なんか、出てくるキャラクターさんにツヨ~く思いいれてる自分を発見するのだ。

ダーティ・ワーク Book ダーティ・ワーク

著者:絲山 秋子
販売元:集英社
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「美」と「醜」を対比する芸術、というのがよく使われる手だけど、「汚」を洗って「純」、「醜」を剥いて「美」というのもあるのだなと。ちょっとダイナミックな、受け取り手側の想像力を要求する、忍耐も必要な、リーダーズハイへといざなう、体育会系スノッブかもしれないゲージツ。

ワンパスで読めず、行きつ戻りつ、一日で読み切らないとわかんなくなっちゃうこと必定なり。

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2007年5月24日 (木)

リセットするのには新顔が最強

まず、この人を選んだ宮崎の有権者の方々の勇気と洞察にエールを贈らさせていただきたい。

宮崎で生まれた改革の波は、そのまんま~東へ! Book 宮崎で生まれた改革の波は、そのまんま~東へ!

著者:東国原 英夫
販売元:ベストセラーズ
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現職の知事さんが、こうして書籍やらブログやらで、リアルタイムに情報発信する。政治と有権者の距離を一気に短縮する。誰がなっても同じと諦めていた人が、投票所に返ってくる。高い志をもつ人が候補者としてどんどん立候補するようになる。宮崎から日本を変えてゆくという目標は、すでにその達成が始まったといえる。

その次は参議院議員、それでもいい。政治には新陳代謝が必要なのだ。

中央の政党本部が有名人をリクルートしたというニュースにウンザリしているのは私だけではないだろうが、氏のように勉強し、研究し、ちゃんと準備のできた人が、適切なタイミングで出てくるのであれば、イヤな顔する有権者もあまりおるまいて。

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2007年5月23日 (水)

最新のベストプラクティス、帰納すれば温故知新

短かそうに思えてヒトの歴史はそこそこ長い。しかし会社の歴史はせいぜい数百年。過去のビジョナリーな人といえば、アレクサンドロス大王あたりが思い浮かぶ。紀元前まで2千年超の歴史ロマンの旅となる。

ビジョナリー・カンパニーで成功した、インタビューによってベストプラクティスの最大公約数を明らかにする手法。これを今度は会社じゃなくて、ヒトに向けた、ビジョナリー・ピープル。成功する人に共通する属性を明らかにしようとする。

その枠組みは、3つの円で表現される。3つの円、すなわち、意義(Meaning)と思考パターン(Thought Styles)と行動スタイル(Action Styles)のばっちり適合した領域で、ビジョナリー・ピープルが生まれるとする。

だが、どうか。成功法則の類いは、内外を問わず、毎年そこそこ多くの書籍が出版される。また、ナポレオン・ヒルの一派やデール・カーネギーをはじめ、多くの古典的名著が存在する。この超激戦区に、画期的なプラスアルファを提言できたのか。

現代の偉人伝たる多くの具体例、その価値は疑う余地もない。特に日本にあっては、米国で活躍される著名な社会活動家の情報は、初めて聞く内容も多く、ありがたく拝聴した。だが、そこに共通するのは、使命感、生き甲斐。ありがちな結論に落ち着くところは、ホッとするのとがっかりするのと、半々ぐらい。

21世紀は、企業から人へ。確かに時代は動いた。一人でも、かなり存在感のあるビジネスが実現できる時代となった。

しかし、ビジョナリー・カンパニーの方法論が、人に適用してもエクセレントであるとは限らない。

ビジョナリー・ピープル Book ビジョナリー・ピープル

著者:ジェリー・ポラス,スチュワート・エメリー,マーク・トンプソン
販売元:英治出版
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ヒトの歴史は、短いようで長い。それぞれの時代には、それぞれ成功に関する価値観を象徴する、美学のようなものがあったと思う。

現代。ITバブルの頃は、打ち上げ花火のようなサクセスストーリーがもてはやされ、その火球の大きさを競った。打ち上げてから開くまでは、早ければ早いほど良い。ビジネスがその後すぐに夜空に溶けて消えてしまおうと、いち早く売り払って早期引退したものが勝ち。その潔さすら讃えられそうな、桜の美学とでも呼べばいいのか。

だが今は、とりあえず生き残ること、継続することに価値が見出されてきたように感じる。Going Concernと呼ばれて長かったはずの企業が寿命が、ここのところ短命化し、人の寿命のほうが長くなった。ビジョナリー・カンパニーでBHAG(Big, Hairy Audacious Goal)と命名された、社員や国民をわくわくさせる偉大な目標。しかし、一度目標を達成すればその使命を終了する、やはり一過性のイベント。

ついに企業のミッション・ステイトメントの寿命を凌駕する、ヒトの使命感。

本書の表現を借りれば、カリスマは大義に宿る。

すなわち、ビジョンだ。

結論から言えば、企業と同じように、持続する成功のためには、個人にもビジョン、すなわち使命感の認識と、周囲への整合性ある働きかけが必要だよ、ということ。

納得できる結論だし、傍証となる、著者の人脈を生かした貴重なインタビューも興味深い。しかし、問題は既存の成功法則に対して、新規性はどうか、何度も繰り返すが、この問いに尽きる。既存の成功法則を、最新の偉人伝で検証したような印象をもつのは、あるいは単に読み手(ワタシね)側の読解力不足ということかもしれないのだが。

そのうちまた、既存の成功法則の書、さらには既刊ビジョナリー・カンパニー2あたりとも比較しながら、考えてみることにしたい。

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2007年5月22日 (火)

ビジョンを作った者勝ち、だけどずっと利益を生むかは微妙

昨日アマゾンで買った、ペーパーバックのThe Secret。今日発送したとのメールが来たが、改めてアマゾンで見てみると、在庫切れ。最後の1冊だった、てなことじゃないよな。

そういえば、海堂尊「ジェネラル・ルージュの凱旋」は、アマゾンでは2~3週間待ち、新古「書」にプレミアが付いてる! 有隣堂「本やタウン」では品切れで注文できず。だけど、BK1では24時間以内に発送。どうなってるのか、ニッポンの書店業界。

さて、先週来、ビジョナリー・ピープルを、ちょっとづつ読んでいるのだが、今日の段階で半分ぐらい。なぜ読むのに時間ばかりかかるのだろう。内容が濃い、これは事実だ。それに加え、精神論とも解される抽象的な主張の比率が多いために、読んですぐにはピンと来ずに、もう一度読み返して考えることが多いのだ。決して悪いことではない。読めば読むほどスルメの味わい。何度でも読んで下さい。読むほどに異なる味が出てくるのですと。

このビジョナリー・ピープルを読むバックグラウンドで、実はシルクロード云々、リッツカールトン云々、そうした本も並行して読んで実際完了しているのだが、いかんせん、ポジティブなことを書けない。厭味をチクチクやって良識を疑われるぐらいなら、ま、書きませんわな。

さて、The Secretが明日配達されるだろうけど、どうしよう。一日一章と決めて読んでいって、その章の感想というか、考えたことを書くようにしようか。だけど、本って、読むのに時間をかければかけるほど、すでに読んだ部分を忘れてるようでは、読み終わってもなんじゃこりゃの読後感。数日で読みきるのが最適解だ。

濫読するには人生は短い。読む本は慎重に選ぶべし、てか?

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2007年5月21日 (月)

The Secretを探せ

米国でベストセラーになった本は、時を経ずして邦訳が出版される。だが、The Secret (Rhonda Byrne著)に関しては、米国での注目度のほどには、日本で盛り上がっているようにも見えない。どうしたことか。

とりあえず、どんな内容なのか、原書を読んでみようと、横浜駅前の大規模書店を回ったのだが、どこにも置いてない。特別な理由があるとしか思えない。

そごうの中の紀伊国屋書店では、在庫検索を行って、ハードカバーもペーパーバックも、英国ポンド表示のものも米ドルのものも、皆無であることを確認。地下街ポルタの丸善も、駅ビルルミネもダイヤモンド地下街の有隣堂も、全滅。

実は、茅ヶ崎の長谷川書店から始め、無計画に東へと遠征、藤沢有隣堂に無く、ついに横浜まで来てしまったのだ。気晴らし目的もあっての確信犯だが、時間とカネの浪費に他ならない。

結論。他のベストセラー・ペーパーバックは置いてあるのに、The Secretだけ、無い。

売れないから置かないのか。いや、違うだろう。ジャレド・ダイヤモンドのCollapse (邦題「文明の崩壊」)は今は頻繁に売れる本じゃないと思うけど、あちこちで在庫を目にする。

日本人が読むには微妙ということか。そういえば、関連の深い Ask And It Is Given (邦題:運命を変えるスピリチュアル・トレーニング)は見当たらず、ビジネス書として関連が無くもない Think and Grow Rich (邦題:思考が現実化する)は広く在庫される。

チャネリングと言うと敬遠されるかもしれない。だけど、Ask And It Is Givenで教える内容は、The Law of Attractionそのものじゃないのかなあと。説明上の便宜としてチャネリングを持ち出すかどうかの違いはあっても。

まずDVDから始まったThe Secret、その初版では、Ask And It Is Givenの著者エスター・ヒックスが登場しているそうだが、プロモーション上の理由で、現在は出てこないという。あちらでもチャネリングと一線を画す決意をしたか。

日本では江原啓之氏の著作をはじめ、スピリチュアル系がバカ売れする。が、それも、仏教文化の浸透した日本ならでは。スピリットである霊は仏様、御先祖様はすべて霊としてお盆にお家に帰ってくる。一方、西欧では、霊は天国か地獄にいて、そこらにはおられないはず。だからスピリットは、エイブラハムのような特別な存在だったり、あるいは悪霊・悪魔だったり。

さらにチャネリングでは、ベッドで上で交霊。恐山の非日常の光景のほうがいいかも。寝てる時にも隣に寝てる人の寝言が気になりだしたりして。ちょっと日本人には生理的にうけつけないような。映画エクソシストの名場面まで思い出してしまいそうではある。

こうしてチャネリングと距離を置くのは商売上しかたないとしても、そもそも、The Law of Attractionというアイデアは、日本ではまだまだ普及していない。さらにDVD版にある(と聞く)ような、多くの高名な先生がちょっとづつThe Law of Attractionを肯定的に語ってゆくスタイルも、その先生方が全然身近でないせいもあって、あまりピンと来ないかもしれない。だったらむしろ、Think and Grow Richの側にあると紹介することで、まっとうなビジネスマンに欧米の啓蒙書として買ってもらうのがいいのだろう。

まあいい。プロモーションは他所様のお仕事。

もしかしたら、逆に、日本市場を特に有望と考え、日本人の著名人を多数起用して「思考が現実化する」的な考えを肯定してゆくスタイルのプロモーションを企画している最中かもしれない。

閑話休題。

この本、アマゾンにはあった。2~3日のうちに送ってくる。米国アマゾンのベスト10に長らく居座るこの本に、どんなセンセーショナルなことが書かれているのか、楽しみだが、テクニカルタームにも頼ることのできない洋書を、読んでわかるのか不安なのも事実だ。

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2007年5月20日 (日)

新しくシルクロード、アラビア半島に乳香の道

今日のNHKスペシャル「新シルクロード 灼熱のアラビア ~乳香の道~」の映像は、期待していたとおり、遺跡の風景と砂漠の人々の表情が織りなす歴史ロマンに他ならなかった。

アラビアが、シルクロードなのか。この疑問はもういいだろう。今回の新シルクロードは、ちょっと社会派の作り。内戦で疲弊したイエメンの人々は、石油マネーで潤う隣国サウジアラビアに出稼ぎに行く。サウジの都市では、若者が高級車に乗り、ブランド品を買いあさる。どこぞの国のバブル風景みたいだ。旧市街では、外国からの貧しい出稼ぎ労働者が集まり住む。

かつてキリスト教の儀式に用いる乳香の産地として交易で栄えた国が、乳香を用いないイスラム教の普及で衰退する。番組ではここまで。そして近未来。石油が無くなるというのは人類が滅びることに繋がるかもしれないが、しかし、何千年という歴史のものさしで考えれば、確実に枯渇し、代替エネルギーの開発によって人類は生き残ったとしても、産油国は衰退する。

シルクロードを語る時、「栄枯盛衰」は必然的に感じ取られるテーマであることに間違いない。「シルクロード」も「新シルクロード」第一部も、かつて栄えたものが今は、というトーンだったのだが、今回の番組では、今栄えるものもそのうち、というメッセージになっていたような。

産油国の好景気は原油高によるもので、その原因の顕著な部分を中国の発展が占める。またまた、シルクロードの東端と西端の因果を巡る話となっている。

番組では紹介されなかったが、アレクサンドロス大王が乳香をひどく浪費するのを家庭教師のソクラテスが咎めて、東方の国を征服してからにしなさいと言ったという。あちこちの歴史のスレッドがからみあって大きな世界史を作ってゆくのだねと、わかり切ったことで頭ではわかっていても、それを直感的に再確認させてくれる、映像のチカラというものであった。

やはりシルクロードシリーズは公共放送の面目躍如。ドキュメンタリー映像の白眉。次回は、狭義シルクロード。「シルクロード」第二部とも重なる地域。新しさを出すのは難しいかもしれないが、なにぶん、絵になる歴史遺産が目白押しで、ハイビジョン撮影がチカラを見せる。

すごく楽しみにしている。

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大モンゴル帝国と米国の類似点

今日の日経朝刊には、堺屋太一氏の朝刊小説「世界を創った男 チンギス・ハン」特集が組まれていた。教科書に載ってるような、当たり障り無い話はさておき、その強さの理由を端的に表現した「殺すが勝ち」思想は興味深い。

しかしなんと言っても、大モンゴル帝国と米国に多くの類似点が示されていて、これは驚きであった。「人間に差別なし、地上に境界なし」というチンギス・ハン。宗教を問わず、人種を選ばず。グローバリゼーションという言葉で、米国との共通点は大雑把に理解できる。

しかし、朝青龍関みたいな顔したツヨそうな騎馬軍団が襲ってきたら、そら怖いです。もう戦意喪失です。だけどそれが、中央ユーラシア大陸全域に版図を広げるまでなったというのは、ただ強いからってそうなるもんでもないような。もしかしたら、市民的には、大モンゴル流の統治が、結構快適だったんじゃないかと。あくまで相対的にということで。

それにしても、堺屋さんの記事の大モンゴル帝国地図を見るにつけ、今日本人がシルクロードだと思っているのは、中国の新疆ウイグルの部分、だから東半分だけだとわかる。東は3本の道になったのは地形や気候の厳しさのせいで、西半分は、そういう意味では面展開だったのだろう。

やはり西半分、もっと知りたいと思います。そういう人は多いのではないでしょうか。

NHKスペシャル新シルクロードも、西へと期待させていて、今日はアラビア。行きすぎかとも思うのだが、はて、実際の番組はどうなのだろうか。

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2007年5月19日 (土)

ビジョナリーよりシルクロードな週末

この一週間は、あの『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの最新作、『ビジョナリー・ピープル』をちょっとずつ読み進めていた。

全然読み終わらないので、毎日、軽いビジネス書を夜2時間ほどかけて速読して、考えたことを書いてきた。さすがに今日は読み終わるだろうと。思い巡らせた内容を纏めて書けるはずだと。

しかし、結局果たせない。真剣に読めば時間がかかる。パラグラフひとつ読んで、ピント来なければもう一度。あるいはさらにちょっとバックトラック。

茅ヶ崎市立図書館も寒川町立図書館も図書整理で休館中なのに、読もうと調達した本の山は高くなるばかり。藤沢と平塚の市立図書館をフル回転で利用させてもらっているからだ。図々しい隣人だ。それにしても、『ビジョナリー・カンパニー 2』も『7つの習慣』も『思考は現実化する』も、まあ、ぶ厚いこと。

で、明日はNHKスペシャル『新シルクロード』第二部第2集『灼熱のアラビア ~乳香の道~』の放送日。

実は最近、先週までということだが、シルクロードや中央アジアの歴史の本ばかり読んでた。にもかかわらず、昨月、第1集『炎と十字架 ~南コーカサス~』を見るのを失念した。これは痛恨。NHKさん、また再放送して下さい。え? DVD出るまで待て、ですか?

まあ、いいや。今晩は、この本で予習して、頭の中を砂漠の隊商モードに。と思ったら、アラビア半島観光スポットの話。シルクロード???

Book 徹底ガイドNHKスペシャル新シルクロード/激動の大地をゆく

販売元:日本放送出版協会
Amazon.co.jpで詳細を確認する

表紙は夕暮れのキャラバン、裏表紙はイスタンブールのブルー・モスク。

全7集のうち、第4集まで詳しく紹介されている。写真が多くてうれしいけど、ボリューム控え目パンフレット状態かも。

もともと理系アタマのジブン、世界史はサボりまくっちゃったし、中央アジア史なんて全然勉強してないから、知識が抜け落ちた空白地帯。中国ほど緻密には、文字の形で記録が残されてこなかったということもあるのだろうな。

だけどこの本に載ってる写真を見ると、なんとも美しい街並み、歴史遺産、人々の表情。

実は、アメリカンエクスプレスの会員誌「Impression」でも、今月は中央アジアのシルクロード特集。表紙を飾る、モスクと民族衣装の美女の写真には、おもわずポーッと見惚れる。やっぱり一度、行ってみたいものだ。シルクロードへの旅行者は圧倒的に日本人が多いというが、日本人の美意識に強烈に訴えるものがそこにあるからだ、ということがよくわかる。

で、このNHKの本の巻末には、なんと、各地方への旅行のモデルルートが載ってて、なんだか新手の旅行書みたいな感じだ。さらに最後のページには小説『ヒストリアン』の広告。そう、あの本を読んだら無性に東欧へ旅行してみたくなる。そして東欧とトルコは隣接。トルコは中央アジアへの入口なのだ。旅情をそそられること、おびただし。

世界一周よりも、シルクロードを走破してみたいと思う、昨今なのだ。

ビジョナリー・ピープルはまたいずれ。

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2007年5月18日 (金)

起業とココロザシ

美学とか、ココロザシとか、何かを大事にして起業するならば、『金儲け』が優先順位のトップには来ない。

一方、ポルシェに乗りたいから起業する。『こだわる』ものが特に無ければ、別に焼鳥屋でもラーメン屋でもどちらでも良い。でも、そこからは、鵠沼にあった佐野実氏のラーメン店『支那そばや』の『ワンタン麺』のような至宝は生まれない。

頭のいい人が儲からない理由 Book 頭のいい人が儲からない理由

著者:坂本 桂一
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

確かに、東大を出て起業に取り組む人は少ない。秀才の何たるかは、そつ無き情報処理能力。失敗が無いということだ。新しいアイデアを出す能力は別物。

失敗するとヤバい仕事は、失敗しない人に任せたいはず。失敗しない人に、失敗がつきものの仕事をさせるのが間違ってる。

犬にニャーと鳴けと言ってるようなもんだ。

ただし、新事業といっても、大企業なら話は違う。資本やブランド力があれば、横綱相撲。勝てる場所を選んで確実に勝てる方法をとれるし、大きな新事業もできる。失敗しない人向き。

給料も高いし、安定してるし、クレジットカードも作れるし、ローンも組めるし、社会的ステイタスもあるし、お見合いでも安心されるし。

何で起業する必要がある?

いや、ひとつ、理由がある。ココロザシだ。

結論から言えば、頭のいい人は、あまり金儲けに走らないのだ。自分の人生を大事にするなら、金儲け以外にも、することは山ほどある。

え、ワタシ?

ぼんくらでおっちょこちょい、起業をココロザす資格は十分です。

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2007年5月17日 (木)

敵を知り心理戦の修羅場を生抜け

会社員時代の同期で、国産の新車を定価で買った奴がいた。

海外の企業と協業するとき、相手も無茶はせんだろうと大雑把な契約を締結したために、屈辱的なまで不利な条件で仕事をすることになった苦い経験がある。

このように、交渉術を欠けば、相手の思うまま、徹底的に収奪される。後々のことを考えれば勝つより双方満足を良しとするにしても、とりあえず負けないこと。そのために、相手の手の内を知っておきたい。あそこはタフ・ネゴシエータだと思わせておきたい。そうすれば攻撃の抑止力ともなる。

では、最強の交渉術とは、どのようなものだろうか。

ヤクザ式ビジネスの「土壇場」で心理戦に負けない技術 Book ヤクザ式ビジネスの「土壇場」で心理戦に負けない技術

著者:向谷 匡史
販売元:情報センター出版局
Amazon.co.jpで詳細を確認する

コンプライアンスに十分注意して仕事をしている限り、あの世界の技術が参考になることは皆無だろうと思っていたが、ぱらぱらめくってみると、そうでもないことがすぐわかる。

心理戦はどこにでもある。特に、あの方々は修羅場をくぐっている。極限状態まで通用する心理術。これはきっと本物に違いない。

この本についていえば、役に立つという以上に、あの業界の人物象を描いた読み物として面白い。そして、交渉術のなかでも、まず下手に出る、意表を突く、形勢を逆転する、押し切る、そういう武闘派の手口が興味深い。

サラリーマンの処世術として役に立つよう、わざわざ著者が応用方法を提案してくれている。どちらも縦社会。組織に生きる知恵として共有できるものもある。例えば、若手が辞めるのを思いとどまらせる、逆転の発想の心理術は印象に残った。

経営者にとっても、生き馬の目を抜く業界の競争を生き残るというのは、ちょっと、あの世界の勢力抗争に似てなくもない。妙な誘惑に負けず、恫喝に屈せず、クリーンな経営を維持するために、交渉は逆にきれいごとであるわけがない。

ライバルはどのような手を使って仕掛けて来るのか。どういう対抗手段が取れるか。準備すべきは何か。とりあえず、情報戦を制すべし。ここでも、備えあれば、憂いなし。

もっとも、そんな状況に出会わないに越したことはないのだが。

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2007年5月16日 (水)

癒しのためのもう一つの世界観

「暗黒物質の輪」が、ハッブル宇宙望遠鏡を使った観測で発見されたと、NASAから今日発表があった。暗黒物質の存在を裏付ける最も有力な証拠の一つという。

速効、Wikiで暗黒物質を調べてる自分の不勉強も恥ずかしいが、昨今、宇宙論も素粒子論も、素人には直感的に理解できる範囲を完全に超越してしまっている。幼少の砌、ブルーバックスを愛した物理大好き少年よ、今イズコ。

見えないものは理解しにくい。直接測定できないものなんてさらに把握しにくい。理論上の都合から発して、何だかんだとモデルを作って、観測と矛盾も無く、反証できなければ、正しいことになる。もっともらしい複数のモデルが並行して存在するのも不思議ではない。

スピリチュアルな世界観にも、そういう側面がある。

運命が好転する 実践スピリチュアル・トレーニング Book 運命が好転する 実践スピリチュアル・トレーニング

著者:エスター・ヒックス,ジェリー・ヒックス
販売元:PHP研究所
Amazon.co.jpで詳細を確認する

運命が好転して欲しいよなあ、そういう藁にもすがる気持ちで、このタイトルに飛びつく人は少なくなかろう。今のニッポンはその程度には不健全だ。自分も飛びついた一人だが、読みはじめてすぐに、この本に書かれているのがチャネリングの世界とわかる。

こちらではその瞬間にココロの安全装置が働き、すべて喩え話として承るモードとなる。理解しようとすれば干渉を受ける可能性があるので、とりあえずフィクションとして、了解しようとするのだ。

それじゃ運命が好転しませんよと言われるかもしれない。だが、その一線は譲れない。

この本は、非物質世界の集合意識「エイブラハム」のメッセージを、物質世界のチャネルである著者エスター・ヒックスが本にしたものという。

冒頭のヒックス夫妻と集合意識エイブラハムとの出会いの物語は、衝撃的ではあるが、この本の中では一番わかりやすいところ。それ以外、エイブラハムからのメッセージは、ものすごく観念的抽象的で、一度読んだだけでは、慣れない概念に振り回されて、違和感だけが残る。

だが、もう一度目を通してみると、その世界観は便宜上の道具立てかもしれないことに気づく。ここで説明されるメンタルな『トレーニング』によって、他の系統の手法では得にくい、ある種の「癒し」効果が獲得できるのではないか。

いわゆるカリスマ・コーチと呼ばれる人たちの「自己啓発」の本、そこに書かれている内容とよく似た方向性を感じる。言ってみれば、ポジティブ・シンキングの類。

ピレネー山脈では巡礼の旅が静かなブームと聞いたことがあるし、『星の巡礼』のパウロ・コエーリョのスピリチュアルな小説が国際的にあれだけ受け入れられることを考えれば、人々にはスピリチュアルな癒しが必要であり、そうした考え方が好意的に受け入れられていることがうかがえる。

エイブラハムというのも、実は、説明の難しいスピリチュアルな指導者的存在を、便宜的にそう表現しているのかもしれない。仏教でもそうだ。難しいことはわからなくていい、ただ念仏を唱えれば救われるのだと。繰り返すこと。続けること。儀式性。これが、ある種のアファメーション効果をもたらし、ココロにプラスに作用する。

SF小説を読むときにそれが宇宙の真実だと思って読んでる人はいない。多少いびつな宇宙観としてもフィクションとして、そのようにイメージすることで、その先の豊かな創造力の世界を楽しむことができる。

数学とて、虚数なんて本当は直感的に理解しきれないツールを便宜的に持ち込むことで、現実世界の問題解決能力を飛躍的に増している。

となれば、この本の、なんとも生理的に違和感のある用語や概念も、盲信せずとも、それはそれとしてイメージし、その先にある果実を手に取ることをめざすのが吉となる。

真実として信じるかわりに、様式として活用する。バイブレーションも、ウェル・ビーイングも、そういう考え方もあるとしてイメージを作り、とりあえずイメージの世界で著者に踊らされてみるのである。

セラピー効果があれば、セラピーの方法論として評価できる。

ココロ癒されれば、運命が変わりそうなものだ。

ただし、ひとつ気になる点。バイブレーションという名の外部からのインプットを無防備な状態で受け入れる姿勢。これは、メンタルなセキュリティホールとなりうる。暗示、ひいては洗脳だ。備えあれば憂いなし。とりあえずいつも安全サイドに立って、自我を脅かされないよう、一人に一台、ココロの安全装置。

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2007年5月15日 (火)

スモールビジネスも飛躍の夢あってまた楽し

自分が独立して最初に手掛けたのは、いわゆる「下請け」仕事。仕事の外枠がかっちり決まっているから、付加価値もへったくれも無い。コスト競争の世界。「要領よく穴を掘れ」と言われてるようなもんで、そんなとこで勝負したって、勝ち目も無いし、勝って嬉しいこともない。

だけど、食える。

だから、ずるずると続ける。一度首までズッポリ浸かると、もう抜けられない。だけど、数年に一度の不況期に淘汰が起こる。そこで考え直す。災い転じて福となす、唯一のチャンス。だが、その先にあるのは、食えないかもしれない苦節の時期。だが、自分で考えて作る、スモールビジネスの世界。厳しいけど、やりがいがある。

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 Book はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術

著者:マイケル・E. ガーバー
販売元:世界文化社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

この著作では、そういうスモールビジネスが陥りがちの問題を明らかにする。成長企業500社のCEOへのアンケートで、ビジネス書1位。それも2位が『7つの習慣』、3位『ビジョナリー・カンパニー』という今でもアマゾン・ベストセラー100に常連の有名書だったというのはすごい。

以前読んだ『史上最高のセミナー』で登場するカリスマな人々のなかで、一番自分に合っているのではないかと感じたマイケル・ガーバー氏。なるほど、それもそのはず、スモールビジネスの現場に精通されているのだ。

この著作では、事業の成長パターンを『幼年期』『青年期』『成熟期』に分けてそれぞれの段階でのありがちの問題のパターンを説明し、その原因を明らかとするために、経営者の気質を『起業家』『管理職』『職人』と分類する。

今直面している問題的をずばりと指摘されてびっくりする事業者もおられることだろう。ま、要するに皆さん職人さんで、そのせいで幼年期で沈滞なわけです。同じ問題だったわけです。実はワタシも。職人さんに経営は無理ですと。

でも、あなたには無理と宣告されるのではなかった。職人のマインドを抑えて、起業家のマインドを強化して、経営者となるんですよと、これまた有難い処方箋。なにやらミンスキーの心の社会/エージェント論を思い出す。変われと言われたら、3週間続けるだけだよと言われても無理っぽいけど、余計な発想/マインドはとりあえず寝かせとけと。なんだか、これなら出来そうな。

その後、スモールビジネスなりの飛躍的成長のパターンを具体的に示す。貴重な情報なので、興味のある方はこの本を手にとって読まれたし。

今となっては古典の部類に属するが、ダン・ケネディ氏の古典が今でもいろいろ考えさせてくれるように、この本も特に旧さは目につかず、今も変わらぬスモールビジネスの極意みたいなものに気付かせてくれる。

もっと前に出会いたかったけど、過去に出会ってもおそらく琴線ビロロ~ンにはならなかった。一度深刻に苦しんで悩んだ経験があって、はじめてその価値がわかり、目から鱗が落ちる種類の本なのだろう。

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2007年5月14日 (月)

凡人の戦略、鈍感力で空気読め

国民のみんながそれなりに幸福だった、右肩上がりの日本。それを支えた『公平性』のような社会秩序が粉微塵になってしまった。足元だけ見てコケないように歩けば、ゴールに正しく到着できる時代ではなくなってしまった。自己責任で進路を考えろと。言うのは簡単だけど、と~っても残酷な、捨て台詞みたいなもん。

そんな時代には、占い師に頼りたくなるし、宗教に救いを求めたくなるし、新しい理論に飛びつきたくもなる。

だけど、新しいのは、えてして難解ですわな。そういうときは、細かいことを鈍感力で忘れ、シンプルな喩え話にしてみるといいかも。どこかで聞いた話になるなら、車輪を再発明しているわけでなくとも、大筋で親戚筋の話かもしれないのだ。

で、流行中のハックス書。Web2.0を最初に提唱したオライリー氏の会社で出版するお堅い技術書シリーズが源流だが、和製ハックス書が、生き方まで変えることはできるのか。

ライフハックのつくりかた Book ライフハックのつくりかた

著者:小山 龍介
販売元:ソフトバンク クリエイティブ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

サイエンスの世界では、用語を作った奴が勝ち。この本でも新語がキーとなる。だから煙に巻かれたと感じることもある。歯を食いしばって、Wikiで用語を調べながら読み進めば、既存の語と微妙に違うニュアンスのあるらしいことがわかる。だが、鈍感力を駆使すれば、平易な言葉で翻訳もできる。

オートポイエーシスはシステム論における「色即是空」だということ。ハナヂ噴出して失神TKOギブアップしそうな、禅問答のような文言。だけど、必死で考えれば、なんとなくわかってくるところも、禅問答的であるのが、いとおかし。

場が重要、とか、ゲシュタルト、とか、オートノミー、とか、既存の用語の組み合わせでは、ちょっと違うぞ、ということなのだが、大雑把にわかってればいいやってなパンピーの自分らにかかると、鈍感力のゆえ、感性の鋭利な刃先がなまって、おんなじじゃん、となる。

短絡的、というお叱りは謹んでお預かりいたします。

だけど、平易に翻訳して読み進めれば、いわゆる『幸福本』とか『自己啓発書』の内容に通じていることに驚く。自分だけ幸福になろうったって、そうは問屋が卸さないよ、なんて、最近のビジネス書に共通して底流するコンセプト。金儲け、なんて主張だけでは、かな~り時代錯誤なことになってる昨今。

なるほど、『幸福になるために』というような本を、今風のライフスタイルに合わせて再構築すると、こういう内容になるのかもなと。そう考えれば、イケテル啓蒙書。正面突破で読みこなせない俺様のオツムの足りなさに言及することとなり、ある意味、目出度しメデタシなオチになったかなと。

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2007年5月13日 (日)

法の下の平等は「数打ちゃ当たる」で確保されているのか

裁判所で裁判に従事する判事さん達は、法曹界の外の人達とフランクに話す際、裁判所のことを「わが社」と呼ぶことは、時々噂に聞きます。またその一方で、この本によれば、裁判官さん達は法廷では、判決を下す当事者の立場にあるご自分(達)のことを、「裁判所は」と称するそうです。

裁判官の爆笑お言葉集 Book 裁判官の爆笑お言葉集

著者:長嶺 超輝
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

裁判では、裁判官によって判決に差が出ること。これは、法の下の平等がうたわれても、人が関わる限り、不可避。この事実は、司法の信頼性を揺らぎ無いものとするためには覆い隠さざるをえないし、実際、裁判員制度が始まるまで、認識することすらタブーとされてきたのではと思います。

しかし裁判官とて、人の子。本音も出るでしょう。それをいちいちこうした本のネタにされてては、ストレスも倍増。読者は無責任に楽しめるのですが。

裁判の背後にはドラマがあって、それぞれ本が一冊書ける内容。裁判員制度開始前に、裁く側の視点で、裁判ってどんな感じか、予行演習みたいに国民はすべからく知っておくのもいい。見開きの2頁に、テーマとなる裁判のすべてのエッセンスを要約するスタイルは、作者の発明したスタイルといえるが、これで読者は広く浅く裁判の実像を窺い知ることができる。

ただ、それだけでは乾いたメモ。それを複数串刺しにすることで、背後にある裁判官さんの人物象を推察することができる。裁判は不可避的に属人的なのか。Yesという回答には、控訴の権利によって法の下の平等を担保している事情が隠れているのかも。

しかし気になるのは、法律の素人さん達が陪審員となった場で、被告側から(あるいは原告側からも)常識的以上に心理に影響のある方法で主張が行われた場合。暗示にかかりやすい人がそこにいれば、即、コントロール下に置きうる。無論、そんな方法が実在すれば、あるいは将来発見されれば、ということだが。

商売の世界では、そういう心理的悪用が野放し状態にも見えるし、『私はこうして大金持ちになりました』型の著作では、『売る』ための秘訣として推奨されていることすらある。

有能な弁護士とは、陪審員さんたちを自分のペースに持ち込める人、ということになれば、多かれ少なかれ、心理的な演出はありうる。この一線を超えてはならない、そういう線は引けるのだろうか。司法のセキュリティホール、法の不備を新たに一つ作るなんて話にならなければいいが。

裁判員制度そのものには大いに期待しているので、不勉強による誤解、杞憂であってほしいものだ。

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2007年5月12日 (土)

鬼瓦の目にも少年のココロ

陰と陽。

人の心の裏と表は根っこのところで繋がっていて、まさに表裏一体。宿敵が自分の影であることを悟ってコントロール下に置くのがゲドの世界観。自分の分身と知らずに殺して、滅び行くのがブレイブストーリー。

ルーク・スカイウォーカーがヨーダと訓練。ダースベーダーを倒して仮面を取ったら自分だった、そんなシーンを思い出す。

封印された魔物が世に放たれ、なんてところは、やはり三大ファンタジーを参考にしてんのかなと邪推したり。世界中のアイデアのいいトコ取りだとしても、最終的に面白いモン勝ち。

ブレイブ ストーリー DVD ブレイブ ストーリー

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2006/11/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

扉の向こうの世界に入ってすぐに出会う、二次元の丸っこい鳥たち。ああ、これ、キャラクター・グッズ用ですね。商売上手。

鮮やかなグラフィックスを背景に、ハイランダー戦士のお姉さんとか、のっぺりした平面キャラがいい味を出しているのだが、萌え系キャラがあまりに露骨な姿で出てくると、いい歳こいた俺様がこんなん見てていいのかと、不安にもなってくる。

終了直前に見る、兄と妹。最後の最後に泣かせるのが宮部みゆき流。ありがとう。宮部節、暖かし。不覚をとりました。参りました。心と体を鍛えても、涙腺は鍛えようがありません。

右目からは、兄と妹よかったよかったの、フィクションに感動する御人好しの涙。左目からは、お涙献上、単純明快で餓鬼のまんまの自分を情けないと感じる涙。

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2007年5月11日 (金)

欲望を覚醒させる、その言霊の操り方は今も昔も

今日の夕方7:30からのNHK「クローズアップ現代」は、池袋・新宿・渋谷の、地域間顧客争奪戦。デパートでは、中央線など郊外へ向かう鉄道沿線に折り込みチラシを配布するという。気の遠くなるような部数とコスト。さらに既存顧客の自宅の訪問まで始めた。

そしてそのミニチュア版が、藤沢・茅ヶ崎・平塚の小売り店の市場獲得競争。戦いの場は駅前から郊外型の大規模モールへと移りつつあるのかもしれない。平塚のオリンピックからも藤沢のミスターマックスからも茅ヶ崎市には折り込みチラシが入る。

このようにマス・マーケティングばかりが目立つなか、デパートは絞り込んだ富裕層にダイレクトメールを放つ。ハイエンド層は外商が担当するだろうが、その次の層をターゲットとする高級路線には、やはりダイレクトメールでの集客が相応しい。

そしてそのセールスレターの品質が、売上に大きく影響することは言うまでもない。では、どのように書くべきか、その具体的ステップを示す。バイブルとのこと。古典と言ったら怒られそう。

究極のセールスレター シンプルだけど、一生役に立つ!お客様の心をわしづかみにするためのバイブル Book 究極のセールスレター シンプルだけど、一生役に立つ!お客様の心をわしづかみにするためのバイブル

著者:ダン・ケネディ
販売元:東洋経済新報社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

模範となるキャッチフレーズがこなれた日本語で紹介されている。それも沢山。しかし、なんだかどこかで見たような気がするのは、すでに日本で流行したスタイルとなっているから。情報商材を売っている人のホームページや、アフィリエイトを目的とするブログでは、こういう文体がやたらと目につく。

察するに、今回正式に翻訳する以前、何年も前に、日本のカリスマ・コンサルが先行してエッセンスを紹介し、皆さん速効で飛びついて、普及してしまったということでしょう。

ダン・ケネディ氏のセールスレターのスタイルは、ネットで広く普及した。そしてリアルなダイレクトメールの重要性は相対的に低下したかもしれない。このことは、ダン・ケネディ氏にとっては予想外だったに違いない。本書でも、ネットの効果には慎重だ。

監訳者のカリスマ・コンサル神田昌典氏のお弟子さんの平秀信氏は、『凡人の野望』に添付のCDのなかで、「コピー・ライティングだけで食ってゆける」というようなことを豪語されていた。なるほど、平氏とダン・ケネディ氏はよく似た方向性をもっていらっしゃるように思われる。

本書は、前半でセールスレター初版ができるまでのステップを示し、後半はそのリファイン。上流のプランニング段階で効果の上限が決まってしまう気もするが、下流で台無しにすることもあるだろう。リファインの段階も大事。

しかし、みかんと林檎を比較しろ、とはまさに悪の経典です。

  越後屋、おヌシも悪よのぅ。

    何をおっしゃいます。お代官様こそ。

      ぐふ、ぐゎはは、がはははっはっはっ、、、。

余談なが、事例として、パソコントラブルの時もちゃんと面倒見るからパソコン買ってください、というダイレクトメールの例も載っている。なるほど、パソコン恐怖症の方へ、と呼びかけるのか。あれ、本ブログにいただいたトラバにもそういう感じのがあったような覚えが。

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2007年5月10日 (木)

温故知新、あきんどのドリル

バイブルのような古典的ビジネス書を、今になって邦訳するのがトレンドみたいだ。

最近では、マクドナルド大躍進の立役者レイ・クロック(会社創立者であって、ブランドの創業者はマクドナルド兄弟のほうか)の自伝『成功はゴミ箱の中に』が記憶に新しい。

そして、カリスマ・コンサル神田昌典氏が監訳するダン・ケネディ氏のマーケティング書2冊の原書の発行は、2000年とある。旧いと言うべき個所は皆無とは言わない。ネットの効果にちょっと懐疑的で、ラジオなどのレガシーなメディアを重視する姿勢。邦訳するなら改訂させろよと、原著者は思っているのじゃないかと。

だが、旧さは読んでて気にならない。定番みたいな本のようで、各論を具体的に説明するというより、マーケティングのマインドとでも言うのか、消費者向け物販事業の基本として押さえるべきポイントを整理して示している。だから時代を経ても陳腐化しにくい。

究極のマーケティングプラン シンプルだけど、一生役に立つ!お客様をトリコにするためのバイブル Book 究極のマーケティングプラン シンプルだけど、一生役に立つ!お客様をトリコにするためのバイブル

著者:ダン・ケネディ
販売元:東洋経済新報社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

どっかで聞いたことあるなー、そう思うのは、神田氏はじめ、国内で本を書かれる方が引き合いに出してきたからということもあるのではないか。

事例がアメリカンのままだから、エキゾチックな香り漂って嬉しくなるが、意外なことに、大企業向けではなくて、そこにはスケーラブルというニュアンスもあるのだが、明らかに重心は中小企業、それも地域密着型ビジネス向けの内容。

俺様向けじゃん。

人口75万都市とか言ってるから、茅ヶ崎+藤沢+寒川あたりのサイズ、湘南市の規模が想定されるから、本当に湘南地域の事業者には参考になるような。カイロプラクティックのマーケティングを熱心にやってたとは、なんだか身近な感じです。

でも、この本の最大の特徴は、巻末の穴埋めフォーム。その名も、究極のマーケティングプラン作成シート。本に直接書き込む形で、読者はドリルとして使うことができる。高額と噂されるセミナーでは、こういうドリルで演習をバンバン行うのでしょう。

せっかくの身近サイズのお話なので、自分の商売をイメージして読んで行きました。アキンドとして努力も工夫も決定的に足りませんな、そう気がつけば今日が吉日。

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2007年5月 9日 (水)

大流行のキーパーソンを探せ

昨日の夕方7時半、NHK『クローズアップ現代』のテーマはアルファ・ブロガー。影響力が強くて、ブロガー達が議論する「燃料投下」する人達、結果的に。

あれ、これって、今読んでる、『ティッピング・ポイント』の話題に類似性高し。

『ティッピング・ポイント』でコネクターと呼ばれる、人間関係のハブみたいな役割をになう人。そしてメイヴンと呼ばれる、事情通の人。ブログ社会では、その両方を兼ね備えたような人が、アルファ・ブロガーになっている。

コネクターは超社交的で、多くの人との人間関係を維持するスキルに長けている。一方、アルファ・ブロガーは、映像を見る限り、有名人ではあるが、自分で多数の人間関係を維持しているわけではない。読者の側からアドホックに作られる仮想世界の人間関係。

『ティッピング・ポイント』では、爆発的に情報伝播が起こる条件として、コンテンツに『粘っこさ』が必要とする。ブログのコメント/トラックバックで張られるネットワークは不揮発性のデータベースになっていて、興味を集める話題は『祭り』を引き起こし、参加者の記憶に残るので、こうして粘っこさが実現されていると考える。

また、コネクターでもアルファ・ブロガーでも、私利に走ったりした行動が発覚すれば、信用が失墜し、その地位を失うことになるところも同じ。

なるほどアルファ・ブロガーは、流行のアウトバーストを起こす条件を備えた存在なのだ。物を売りたい企業が黙ってるはずなくて、色々籠絡を仕掛けてきて、アルファ・ブロガーも人の子、誘惑とリスクとプライドと、ジレンマ、トリレンマに悩むわけですな。

さてさて、この本、『ティッピング・ポイント』、先日読んだ『第1感』の著者の前作にあたる。人の心理に関するセンセーションといえば両作品ともそうなのだけど、本作は人と人との関係にポイントがある話。かたや『第1感』は、ヒトの内側へと深堀りしてゆく話。こんな違う話を同じ人が書いててビックリなのに、これが処女作。スゴスギる。

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2007年5月 8日 (火)

ローコスト住宅を何棟売れば社長の懐に5億円入るか

欲の皮を突っ張らせたまま日々の生活を送っていれば、見える景色も違う。『年俸5億円』なんてタイトルが目に入れば、それはもうバキューンと脳内のスイッチがオンになる。

本を売るためにサイコーなタイトル。手に取らせた著者(と出版元)のマーケティングセンスは、やはりただものではない。

だが、ちょっと待てよ。

年俸5億円の社長が書いた 儲かる会社のすごい裏ワザ Book 年俸5億円の社長が書いた 儲かる会社のすごい裏ワザ

著者:平 秀信
販売元:アスコム
Amazon.co.jpで詳細を確認する

5社で売上30億円、従業員1人当りの売上1.5億となると、社員数20人。この規模で社長が5億取れるとなると、利益率の抜群に高いビジネスを含んでいるはず。ローコスト住宅の工務店で、その利益率は到底無理。

読んでみると、前作『凡人の野望』とはノリが異なるのか、書かれているのはまっとうな事ばかり。裏ワザ、でもない。引き合いに出されるのは、ローコスト住宅の工務店の話。言ってみれば、よくある普通のビジネス書。

前作では、付属CDのトークだったであろうか、こちらの記憶に間違いなければ、収入の大部分はコンテンツビジネスから得ていると言っていたような。本書で用語としてだけ触れられているビシャスマーケティングが、そのコンテンツビジネスに対応するのだろう。

となると、本書は『5億円』で釣っておいて、『5億円』を生む秘訣は語っていないことになる。

タイトルは、嘘じゃないけど、騙されたと思う読者は少なくないかも。引っかかったワタシもオバカだけど、ミスリード・マーケティング(?)の使い手って、どうなんでしょう。

センセーショナルな5億円は忘れて、フツーの商売繁盛ノウハウ本として読めば吉だが、読んだ人が、この社長の会社からローコスト住宅を買いたいと思うかどうかは、わからない。

※ 追記:そういうもやもや感が、平秀信氏のWikiからも読み取れます。

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2007年5月 7日 (月)

至高の理性は野性に通ず

今日のNHK夜8時「鶴瓶の家族に乾杯」は、伊勢湾に浮ぶ答志島から。お年寄りと、いつもながらのほのぼのトーク。そのあとに紹介された、海産物の競りの模様。

どこの競りでもそうだが、仕切り人は、買い手が符牒で示す値を一瞬で把握してさばいてゆく。買い手のほうもプロで、魚をひとめ見ただけで、あ、こりゃ新鮮じゃ、うめーべと確実に言い当てる。なぜか、それは聞かれてもわからん。経験じゃと。

思考というより条件反射に近いものかもしれない。しかし誰にでも初心者の時代はある。初々しくも、いちいち確認する悠長な仕事に顰蹙を買いながら、熟練してきたはずだ。

達人になる、という人に歴史ありの長き成長の道には、往々にして、一連の思考とあるいは行動までをひとまとめにして、高速化して、体に覚えさせる、という段階が含まれる。人工知能的にいえば、マクロ学習、あるいはチャンキング。

マシンならぬ人間様では、意識の顕在野から潜在野に学習内容を落とし込んでいたりするからヤヤコシい。いや、潜在意識といっては言いすぎ。

適応性無意識、本書ではこう表現する、そのあたりか。

第1感  「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい Book 第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

著者:M・グラッドウェル
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

表情を読んで感情が無意識的に伝播する仕組みについては、ゴールマン氏の最新作『SQ』に説明されていた。SQで主張されているのは、その伝播が無意識の社会性なるものを作るということだが、その下地となっているのが、無意識化での高度な情報処理の存在。それも、生物としての本能みたいな形で備わっている。

先天的にプログラムされている社会性。

『第1感』と表現される「直感」は、その土台。説明できないけど、瞬時に正しく判断を下す。

鯱鉾ばって説明するとムズカシそうだが、野球でもテニスでもサッカーでも、スポーツをやるときは全員やってる。あのボールは沈むか切れるか、考えてるうちにボールは通り過ぎてしまうから、バットでもラケットでも足でもとりあえず反射的にそこに出しとく。

花形満のような天才プレーヤーはまさに本能的に手も足も出るわけで、かたや努力の人、左門豊作をめざさざるを得ないワタシは、練習練習また練習。考える前に体が動いてくれるように、あたかも本能を後天的にでっち上げてゆくかのような必要があるわけです。

あるいは、相手の指が銃へとピクリと動いた瞬間をとらえ、自分の銃を抜いて相手に一発お見舞いというコンパイルされた一連の動作を一瞬でミス無く完了させなくては命も無くなる、西部開拓史事情。

マシーンとなれ、と。

そして『第1感』を手なずけろと。

環境をコントロールすること。これで、プラスにもマイナスにも働く『第1感』の効果を制御できる。高度なセルフコントロール。正しく使えば、リーダーシップへ。悪用すれば、プライミングで他者の判断を誤らせるなど、諸悪の根源にもなりうる。

心理学は結構怖い。今は野放し。騙されない。最低限の知識武装があなたを守る。

と、ここまで書いてから気がつくのもなんだが、要するに『パターン学習は主に本能を司る原始の脳の部分で行われるから、無意識のうちに機能するよ』というだけの話なのかもしれない。もともと、ゲシュタルト的な認識というか、本書では『輪切り』と称しているが、東洋系の文化ではごく自然な「大局観」的なものの見方なんだけど、アナリシス大好きな欧米人様の感性では意外に映るということはあるかもしれない。『SQ』まで行っちゃうとぶっ飛んでて誰でもスゲーびっくりかもしれないが、本書(原題)『blink』の範囲では、ちょっと意外な現象を集めて一般の読者さんをびっくりさせますよ、てなところなのかなあと思ったりして。頓珍漢な誤解かもしれませんが。

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2007年5月 6日 (日)

福音を伝えるが宗教ではなくて

キリスト教の教義が社会正義の基礎にある国であることを忘れて、かの超大国の指導者が、時に信仰を引き合いに出す不気味さを感じることがある。自由の国で、宗教もなんでも自由が保障された国とはいえ、大多数が同じ宗教を信仰しているから、求心力が確保されているところはある。

さらに宗教がかった外圧なんてのが出てくれば、すわ宗教戦争と、ナショナリズムが高まる。

かの国は、やはりキリスト教の国。その国で、幸福を語る王道は、日曜日には教会に行きましょう、このフレーズ。この一言なくして、しかし圧倒的な支持を誇るカリスマ・コーチ。自分は福音を伝える者と定義する。それは預言者のお仕事だったのでは。

この本からも宗教的な香りは漂ってこないが、『救済』される心地よさを感じる。過去に宗教が担った役割の一つ、心の重荷を取り除くこと、これを、科学技術の発展と世界のフラット化で一つの宗教に身を委ねにくいメンタリティをもった情報社会の世代の人は、カウンセラーや、カリスマ・コーチに求める。

3週間続ければ一生が変わる (Part2) Book 3週間続ければ一生が変わる (Part2)

著者:ロビン・シャーマ,北沢 和彦
販売元:海竜社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

前作と同じ、日めくりカレンダーの『今日の標語』みたいな構成。重複みたいなものもバリバリに存在するが、そんなのはどうでもいいこと。読んで自分で考えるきっかけになれば役割はきっちり果たすことになる。

特にとんがった内容は無いこと、あの『鈍感力』の考えに通ず。

まあ、ケ・セラ・セラ、これでいっとけと。

宗教は不幸な人を救済するけど、幸福な人をもっと幸福にするかといえば、それはどうか。ところが、幸福な人はさらに貪欲に幸福を追求する。

幸福な人がさらに幸福になるには、他の人を幸福にする助けをしないとね。そういう『美徳』の指導にも、宗教的な感じは無し。でもそれは、かつて宗教が担ってきた徳。

川は流れて大河となり、海に注ぐ。

それは宗教にとどまらず、人のココロの本質という話なのかもしれません。

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2007年5月 5日 (土)

暗示というあなたのセキュリティホールを解消するには

あなたの潜在意識への入口は、封印されていない。

暗示で人を動かそうなんて本がベストセラーになる今、あなたのココロにはセキュリティホールがある。つけこまれて、高額の壺を買わされるぐらいならまだしも、被害者から加害者の側となって司直の手に委ねられる可能性すらあるとはオゾマしき。

つけこまれない、そのためには、どうすればいいのか。

ダメな自分を救う本―人生を劇的に変えるアファメーション・テクニック Book ダメな自分を救う本―人生を劇的に変えるアファメーション・テクニック

著者:石井 裕之
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本書はドリルの体裁。各章末の問いに答えて、自分なりに列挙した答えを書き込む意匠。

ジブンの前の読者、これ広域利用の図書館で借りた本だけど、その読者の回答が鉛筆で書いてあって、消しゴムで消し忘れたんだろうけど、個人の特質を推察できる内容が書いてあって、一方通行ながら、どちらも望まぬある種のコミュニケーションが成立してしまった悪寒。とりあえず消しゴム出動で削除

どちらも無防備。

マナーの件はさておいて。

ところで最近、手品のトリックをテレビで公開したと、手品師さん達がテレビ局を訴えたニュースが報じられた。本書では、催眠術師のヒミツをバラす。催眠術にかかりやすい人々、10人に1人程度の「かかりやすい」人を観客から見つけ出して、ショーで使うという、この知られざる事実。業界の当事者が暴露したわけだが、同業者はたまったもんじゃない。

くりぃむしちゅーの番組『たりらリでイキます』で、眞鍋かをりサンが見せた、後頭部と足首の2点だけで支持された、水平に硬直した全身。その腹の上に大の大人が座ってもびくともしない。あれもやっぱり、暗示にかかりやすい人だから、ということなのだろうか。芸能界きっての知性派(だよな)のはずが、あれほどあっさり籠絡、暗示にかかりやすいとは。ヤラセ演技じゃないよね。

一方、お笑い界の蘊蓄王、くりぃむ上田晋也は、一度も催眠術にかからず。セキュリティ強度高し。見習いたいもんだ。

とりあえず、自分のココロは自分で守る、これ大事。

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2007年5月 4日 (金)

男の将来を値踏みするなら、占い師より、銀座のママ

夜の銀座で遊ぶ余剰資金もなければ、スマートに金を使う帝王学のような教育を受けたわけでもないワタシたちフツーの人にとって、目の肥えたママさんに「あなたはここがねぇ」とやんわりマンツーマンで駄目出ししてもらう機会は残念ながら無いのだけれど、一般論としてどういうヤツが「生き残れる」のよ、そういう興味はすごーくあるわけで、凡庸だが善良なるワタシたちのためにこういう本を書いてくれる才色兼備の志保ママに、感謝。

生き残る男の条件 Book 生き残る男の条件

著者:ますい 志保
販売元:青春出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

生き残る、という表現を選んでいるのは、今や成功は長続きするものでもないということを暗に言っているのだと思う。だとすれば、せっかく今羽振りがいいんだから、余裕のあるときにぱーーーっと使っちゃえと。そういう人を相手にするのも、銀座の夜のビジネスの本来の姿なんじゃないかと。

生き残る男ってのは、ずーっと成功してる人はもとより、成功して、その後落ち目になって、普通はそれっきりなんだけど、なんだかんだで復活して、また銀座の夜に帰ってくる、あーらおひさしぶり、不死鳥のような懲りないオジサン達のことをさしているのだろう。

だけど、どうなんですかね、明日を変えてゆくような新しいアイデアって、銀座の夜に生まれてるんですかね。パクってそのまんまアメリカ直輸入とか、株式公開をゴールにする「欲」を肥大化させたようなビジネスプランは、「越後屋、おまえもワルよのう。お代官様こそ。カカ、カーカッカッ」てなノリで、銀座の料亭やら高級クラブで産声を上げるのも、B級映画のワンシーンみたいで、絵になってて、いかにもありそうな話だけど。

まあ、しかし、あれです。内容は、デール・カーネギーの本を読んでるような、紳士淑女の嗜み、なんて感じの常識的なところで、カネカネカネの話じゃなくて、ココロの豊かさに軸足を置いてらっしゃる。でもそれは、ある程度の経済力が前提であって、そのレベルはかなり高いと思われる。あのセレブ女医さんと同等か、それを凌ぐボーダーラインをもつと考えられます。

フツーに生きてる人は、生き残ってるように見えないかも。

とはいえ、お付き合いされてるセレブ経営者のこぼれ話が聞けるだけでも面白い。3000円フルコースの会、というのも意外。ただ、いつも超高級店に行ってる人達が3000円で食べるから意味があるのであって、いつも牛丼ですという人が3000円フルコースの会に行っても、いつもよりちょっと贅沢です、になっちゃって、浮くこと必至。というより、セレブだけしか参加できず、てな会なのかもしれません。

お金持ちの世界を直接覗き込む『世界ばりばりバリュー』みたいなアプローチも刺激的だけど、志保ママのようなハイソサークルのキーパーソンの感性というフィルターを経て滴り落ちてくるような濃密な話を聞くのも、楽しいですな。あ、こりゃ野次馬根性ですか。

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2007年5月 3日 (木)

ユーモアも命がけ、ご利用は自己責任で:『世界のイスラムジョーク集』

イスラム文化圏にジョークは馴染むのかいな。

憧れのシルクロード。石窟の壁画として残る仏教芸術を巡る旅と言っても、今やその地域はイスラム圏。旅行けば、街の人々と交流、異文化コミュニケーション、センス・オブ・ユーモアが大事と、他愛ないギャグを飛ばしたつもりが、相手の引き攣った顔を見て、逆鱗に触れて進退きわまったことを知る。

これじゃ洒落にならん。

そもそも、マジに見えるイスラムの方々に、ジョークという概念はあるのか。

世界のイスラムジョーク集 Book 世界のイスラムジョーク集

著者:早坂 隆
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

高騰する石油で笑いが止まらない産油国のイスラムの方は、ジョークの一つも言うでしょう。それは、本書でわかります。なんだか戒律も緩い地域があるようで。イスラム文化圏と括って一つのものとして語るのに、そもそも無理があるような。

トルコ初のノーベル文学者となった、オルハン・パムク氏。その作品からも、イスラム文化圏の生活を窺い知ることができる。なかでも『雪』。生真面目に宗教に身を捧げる若者達のメンタリティが描かれる。冗談が通じる世界ではないでしょう。

「世界のイスラム・ジョーク集」と銘打っていても、改題前には「ジョークでわかるイスラム社会」と表現していても、それは日本人はじめ局外者同士で語ることが許されるジョークであって、イスラム圏にあっては相手を選ばないとヤバいのではないか。

著者である早坂隆氏の既刊「世界の日本人ジョーク集」「世界の反米ジョーク集」とは事情が異なる。

もっとも、ジョークはおまけで、イスラムの生活を伝える、豆知識集との色彩強いことは、既刊と通じるところ。

読んで一人でニンマリするのもいいし、日本人の女の子相手に蘊蓄を披露するのもいい。その先は、、、あなたの自己責任でね。

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2007年5月 2日 (水)

匠にしてアスリート、その理想を実現するための会社:『社員をサーフィンに行かせよう』

パタゴニアへは夢を買いにゆきます。

とりあえず今日はシャツが欲しくてパタゴニア社のサイトへ。ポロシャツ8千円から。ユニクロの価格を見慣れていると、ちょっと飛びつきにくい金額です。

機能性や品質に優れ、環境に優しい作り方とくれば、納得できる価格かも。大事なのは、俺、パタゴニア着てんだぜという満足感。ここがポイントです。

世の中には、夢を売る、という会社があります。例えばディズニー。ブランドとは、そういうものなのでしょうけど、その背後にある物語とか、憧れてるイメージやら、無形の価値を買うことになります。

そのブランドを身につけることで、あたかも自分がそのブランドに相応しい価値をもったかのような錯覚。そう言ってしまっては身も蓋もありませんが。パタゴニアを着ることで、なんだか環境保護にちょびっとだけ貢献したような、突然いい人になったような、そんな気になるのは事実でしょう。

社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論 Book 社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論

著者:イヴォン・シュイナード
販売元:東洋経済新報社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本書は創業者の自伝。最初は一人で登攀用具を作っていたシュイナード氏。職人にしてトップアスリート。消費者にして最も厳しい評価者。今流に言えばプロシューマ。使う自分にとって最高の道具を作り出す。

一人のプロシューマがそのまま巨大化して今のパタゴニアがあるような。

限りなく自由で社員を大事にする雰囲気は、「Google」とか、日本なら「はてな」みたいな、超個性派。

創業者シュイナード氏の職人としての誠意とアスリートとしての信念がそのまま会社のカルチャーになってるから、株式公開なんぞしなくて正解。株主の短期的利益という視点からは理解不能の無駄だらけの会社に見えるだろうから、ではリストラと、始めた途端にパタゴニアじゃなくなる。社員にとっても消費者にとっても魅力を失って、空中分解しそうな。なんて言っては怒られそうですが。

新しい会社には、職人さんとか、技術者とか、現業で実務についている人が作る会社もあるし、営業とか経営とか、間接部門的なスキルをもった人が作る会社もあるし、創業者の『欲』が肥大化してその欲望を満足するためにあるような会社も少なくない。『欲』型の会社にとって、会社が商品だったり、会社は金儲けの道具だったりする。

拝金傾向顕著な最近の日本では、『欲』型会社が多いが、パタゴニアは、いわばその対極にある。金儲けは目的ではなくて手段だ。創業者にとっても、会社は自己実現の場で、カリスマコンサルに、そんな会社売っちゃえと指導されても、うんと言えなかったのは当然。会社は分身みたいなものなのだ。

製造者にして消費者。そういう会社だからこそ、いたずらに大きくもできないが、すでに製造は外注で、評価するアンバサダーは外部のトップアスリート。シュイナード氏の言う、『不在による管理』が安定して機能し、創業者が何もしなくても成長軌道に乗っているようであることは、ええ、まことに勝手ながら、、、

御同慶の至りでございます。

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2007年5月 1日 (火)

幸運を管理下にという夢に一歩:『人生の95%は運しだい』

幸運を管理してゆこうという超野心作。なんだけど、ね。

人生の95%は運次第だから、努力しても無駄だよー、てな脱力型のほほん系の話かと思いきや、180度の方向性で、運次第だから、運そのものをコントロールしようぜ、そういうものすごく前向きな話。

人生の95%は運しだい―「ラックマネージメント」の時代がやってきた Book 人生の95%は運しだい―「ラックマネージメント」の時代がやってきた

著者:松永 修岳
販売元:第二海援隊
Amazon.co.jpで詳細を確認する

商売をやってる人は、多かれ少なかれ「縁起」を担いでて、お店や事務所に招き猫なんて置いたりしてんじゃないでしょうか。うちもそうです。実感として、高校の授業で習うような確率論じゃ説明できないような運不運の波、これが商売には附いて回るんじゃないか、そのように日々感じています。

だけど、じゃあ、運を積極的に管理下に置きましょうと、そういう発想にはなかなか至らないもので、こりゃ大胆です。意表をつかれる、発想の大転換です。もし本当に管理できるなら、それはすごい。夢の技術です。

麻雀だって、ダマの大三元に振っちゃうのは、いつもワタシ。ああ、運が悪い、そうじゃなくて、場の雰囲気を読む能力が決定的に欠けている。運を管理する、というのも、全部が全部超自然現象の話というわけではなくて、99%の「地道な努力」プラス1%の超絶ウルトラC技術、みたいな話になるのではないかと。

こうした『運の管理』という問題意識を口に出して示してくれたことが、本書の最大の価値だと思われるわけです。

しかーし。

では、具体的にどうすれば。整理整頓やら、方角やら、気やら、風水、あるいは占いの類に言及するし。また、根拠として、脳神経の話題を強引に出してくるし。ここらへんは、もしかしたら論理的に完全に破綻してると感じる方もおられるかもしれません。

結論は、不在とも思われます。

だけど、その何とも扱いにくくて科学から「鬼門」の方角にあるような課題を、躊躇せずに真っ向から切り込んでゆく姿勢には、頭が下がる思いです。

まだ始まったばかりです。

長い目で考えようではありませんか。

運をコントロールする、この課題が近い将来に、何らかの科学的成果、すなわち反証可能のはずだけどよう反証しきらん結果をもたらすことを願ってやみません。

運に踊らされる商売人として、夢を感じるところです。

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