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2007年4月

2007年4月30日 (月)

共生の時代、しなやか仏教が熱い:21世紀 仏教への旅 朝鮮半島編

仏教への飽くなき探求を続ける五木寛之さん。

瀬戸内寂聴さんのように、いっそ出家してしまう手もあるだろうけど、108の煩悩(日韓共通なのですな)を断ち切って『卒業』されるより、あえて俗世を選ばれ、プロのお坊さんもかくや、という仏教研究をされていることは、機関銃のように出版される本の数からも明らか。

氏の仏教をめぐる旅は、いつかそういう巡礼の旅をしてみたいと思っていても、なかなか実現できないフツーのワタシたちに代わって、代理体験して、見たこと聞いたこと考えたことを、ワタシたちに伝えてくれる。ありがたいことです。

そういえばこの企画、NHKハイビジョン特集とのコラボでしたよ。新旧シルクロードシリーズといい、NHKならではです。公共放送の面目躍如。

氏の旅は、前作のインドの旅に続いて、今回は韓国へ。日本に仏教が伝来した経由地ということはもとより、かつて五木さんが幼少期、ご両親と福岡から半島に渡り、ソウルへ、そして平壌で終戦を迎えたという、いってみれば氏のルーツに帰る旅という側面もあったのですね。

その韓国では、今、仏教が熱いといいます。

21世紀  仏教への旅  朝鮮半島編 Book 21世紀 仏教への旅 朝鮮半島編

著者:五木 寛之
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本書の終盤では、「無所有」の教えが紹介されてます。

所有するから拘りが生まれる。一つしか無いものを奪い合うから戦いが起こる。聖地、なんていうのもそのひとつかもしれない。すべては移り変わる。今生きてゆく中に地獄も極楽もあり、すべて人の心の作り出すもの。苦しくとも、とにかく、まず生きよと。そういう感じで、ワタシも完全には理解できてません。

裏表紙に仏像の写真が載ってるのですが、これを見るにつけ、同じ仏教芸術でも美意識が全然異なると直感されます。でもそれ以外、仏教が教えるツボのようなところは、韓国と日本でよく似ていると感じられます。韓国経由で伝来したのだから当然との考え方もあるでしょうが、世界中でその土地と人々に順化して独特の発展を遂げてきている仏教のこと、この類似性は、同じモンゴリアン、似たような気候で同じようなモノ食っててその他もろもろ共通項が多いことのなせるワザ、ということなのでしょうかね。

儒教とキリスト教の国とされた、その韓国で、今や仏教徒は人口の1/4に達し、数の上でキリスト教に拮抗しようとしているといいます。それはすごい。

一方、急速に少子高齢化が進み、日本以下の出生率となり、さらに、なんと日本以上の自殺率。こんなとこまで驚くべき類似性。

悪いトコまで似すぎているからこそ、なにかとお互いに感情的になりがちなのですかね。

韓国では、仏教寺院の90%以上が曹渓宗、すなわち禅宗だそうです。僧侶は基本的に肉食妻帯せず、厳しい戒律を守って修行し、五体投地で礼拝するといいます。その一方で、より柔軟な生き方、あるいは破戒僧とも揶揄される生き方を選んだ僧もいらしたとのこと。そこには、ひとたび悟りをひらけば戒律の役割は終わるとし、その後は俗世に降りて衆生を導くべしとの考え方があるということです。

護国宗教としての戒律の厳格性と、庶民の救済のために身にまとった柔軟性。両極の間に広がるこうした多様性は、人それぞれの事情を尊重し、広く救済してゆこうとの姿勢が結実したものかも。このしなやかさは、世界宗教に成長した仏教の特質と言ってもいいでしょう、きっと。

他の宗教を拒絶するわけでもなく、あるいはそれは、多神教ならではのおおらかさ。グローバルな共生を論じなくてはならない時代の、共存に優しい宗教。そういう捉え方もあっていいかもしれません。

巻頭の写真、僧侶の姿は、東アジアに共通する佇まい。その凛とした姿は、シルクロード亀慈国の高層、鳩摩羅什のイメージ(NHK新シルクロードのキャストさんですが)とだぶって見えましたよ。そしてシリーズ次回作は中国の旅とのことで、こちらにも大いに期待が高まってワクワクする今日この頃です。

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2007年4月29日 (日)

脳が改竄する過去と未来の幸福:『幸せはいつもちょっと先にある』

人生設計をする。時間軸上に、達成できるであろうマイルストーンを置いていって、それを実現するのに必要な準備をブレークダウンして具体化し、さらに時間軸上に書き込んでゆく。なんとも計画的な人生。だけど、期待するほどには幸福な感じにもならないのは、なぜか。

予測といえば、精度が落ちるのは必然。外注さんにソフトを作ってもらうったって、当初出てきた見積もりで作らせてみると、工程はずるずる遅れ、予算はガンガンオーバーしてゆく。

定量的に扱いやすいはずの分野でそんなザマだから、不確実要素の多い人生なんて、そりゃ予想も大変。未来はかくかくしかじかの幸福になってるはずが、実現しやしないし、実現しても幸福感乏しく、こんなはずじゃなかった。どうしてさ???

その疑問に答えようというのが、この本。

幸せはいつもちょっと先にある―期待と妄想の心理学 Book 幸せはいつもちょっと先にある―期待と妄想の心理学

著者:ダニエル・ギルバート
販売元:早川書房
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骨太のアカデミックな内容を、砕きまくって大量に砂糖をまぶして、アメリカンなお菓子風に仕上げる。面白く読めるが、その上っ面に気を取られて本筋を読み落としやすいかも。

オレサマ的に解釈した要旨は主に2つ。(曲解の可能性アリ。)

まず、人間様の前頭前野で司る『予想』には3つの欠陥があるから、精度もそれなり。すなわち、予想の根拠となる過去の『記憶』は圧縮されていて、再現時には勝手に情報が付与されること。予想には現在状態が反映されてしまうこと。経験後にはその悪い影響を和らげるように記憶が勝手に加工されてしまうこと。

さらに2番目として、幸福は測定できるもんじゃなく曖昧なこと。『社会システム維持』の都合に合った幸福感を外部から刷り込まれている可能性もあって、実感と乖離する場合があること。

こうしたことから、将来の幸福感を予想するには、現在その経験をしたばかりの人に聞く(観察する)のが、一番マシな方法といえる。

さようですか。うぅ~む。

なんだか本当に、問題点を暴くだけ暴いて解決策を示してくれなくて、救われない本だよなあと思うが、挿話は興味深い。前頭葉が切り離された人が、予想の機能を失った話。過去のエピソードを再現するときに、視覚やら聴覚やらに対応する脳の部位が共用されること。などなど。

米国アマゾンで原書を買った人がそれなりの比率でSQ(ゴールマン著)本を買う、というのも頷ける。脳の反応パターンを根拠にした、脳神経学に限りなく近い心理学。それで『幸福』なんて話になってくると、NLPを経て、ある種のカウンセリングの世界へと続く。

恋愛、なんてのも、こうして分析してゆくと、脳内物質の分泌パターン。なんか、ロボットにも機能として実現できそうな気もしてきて、感情をもつロボット、となれば意識をもつロボット。そして限りなく生命体に近づくことで、人格のようにロボット格という尊重しなくてはならないものも出てきそうな予感もしてきて。

人間機械論というのも無粋で、時代がかった印象があるが、心理学者様がこういうハード(生体メカニズム)側の話を始めると、やっぱり人間機械論に回帰してる感じだよなと、不覚にもターミネーターのスカイネットの世界観を想起して、オタクの世界と紙一重と自分の立ち位置に驚いたりもする。ただの飛躍、短絡思考かもしれない。

だからこその副題の末尾、妄想の心理学、か。

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2007年4月26日 (木)

使いやすいけどオモシロくないウェブかも:『ウェブユーザビリティの法則』

米国のコミック風キャラクターが活躍する、オモシロ本。絵が多いから原書でも読めるかも。というより、そままま邦訳して役に立つ本になっているかは、どうなのだろうか。イロモノ的に楽しめるのは確か。

ウェブユーザビリティの法則 改訂第2版 Book ウェブユーザビリティの法則 改訂第2版

著者:スティーブ・クルーグ
販売元:ソフトバンククリエイティブ
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ちゃんとパン屑リストをてっぺんに置いとけよ、とか、言われなくてもわかってますよ、てな老婆心。初版では画期的、しかし5年もたって普及してしまうと、今さら常識的なことを言われてもね、という感じはある。まあ、しかし、洋モノのコミックまで動員して、やさーしく説明してくれてるんだから、ホームページ制作の現場で新人に「明日までに読んどけ」という教科書的な使い方にはいいんじゃないか。

こういう洋風オモシロ・キャラをうちのサイトにパクっとけ。てなディレクションをしたくなるような。

だけど、日本で制作するなら日本独特の「定石」もあって、それは結構大事なんじゃないか。本当はそういう本を先に読んどいたほうが、新人さんも幸福なスタートが切れるかも。

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2007年4月25日 (水)

広域同時神隠しに対峙する和製X-MEN:『失われた町』

本書のプロローグはある種の結界である。

これは後から書き下ろされたエピローグ。自己完結しないから、何度読んだって、わけわからん。興味本位の読者は、超難解な小説と見限ってギブアップ。私も一度諦めた。一方、最後まで読んだ忍耐強い読者は、もう一度ここに戻ってきて、結末を再確認し、かくして熱心な読者の努力は報われる。

失われた町 Book 失われた町

著者:三崎 亜記
販売元:集英社
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伝統的な神隠しとは、普通は1人から、せいぜい家族ぐらいの人数まで。それが数万人も一度に消えるとなると、リアルな方向には国家規模の陰謀、ファンタジーの方向には、自然破壊に対する八百万の神の怒りの鉄鎚、なんて展開も妄想できそうな。

それもミサイルやら戦車やら大魔神やらゴジラやらによるような 物理的な大量破壊を伴わず、人だけ消える。想起されるのは、レミングの死の行進。さらに子供の同時消滅なら、ハメルンの笛吹き。どちらにしても、集団催眠のような、サイコな方向性。

しかし、集落の壊滅なんてのは戦乱の世なら日常茶飯事。文明の崩壊なんてのすら歴史上に数ある話。シルクロードで楼蘭国の廃墟を発見しましたなんてビデオ見て喜んでんだから、人が消えた町ぐらいでは驚くなよと。あるいは超急激な過疎化の話かと。

地図上から消えたのだが、実は漂泊民サンカが住んでる。Google Mapsで空白区域だけど実は最先端の軍事施設だよとか。そういう方向の話も面白そうだが、本作のサイエンティフィック(?)な方向性は、脳心理学とか超能力。

FMRI等で脳機能の理解が進んだ昨今、無意識の非言語対話まで明らかとなり、「潜在意識下で繋がっている」感覚も与太話でないとわかってきた。となれば、睡眠から覚めない人の夢に干渉してこちら側へ引き戻す、なんて話も、長い目で見りゃあながちフィクションと呼べないかもしれない。

こうした、メンタルとリアルが交錯する世界観は、創作の世界では結構「旬」なのかもしれない。宮部みゆき「ドリームバスター」では、宇宙船に乗って脳内世界にジャックイン。間もなく第4作が出るそうで、こちらもまた楽しみだ。

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2007年4月24日 (火)

美徳と美学の国でゆこう:『日本は略奪国歌アメリカを棄てよ』

ここのところ連日、レッドソックスとヤンキースの日本人選手の活躍がテレビで報じられる。野球キッズの夢はやはり、大リーグ。今でもアメリカンドリームの国であることには違いない。

米国がこれまで喧伝してきたグローバリゼーションは、しかし、各国に格差をばらまき、富を収奪する仕掛けとも指摘される。米国こそならず者国家。そりゃ言いすぎだが、破廉恥であるとは言えるかもしれない。

外野がその程度のことを言ってもお咎めなどあるわけもないが、アメリカで生まれた人がそういうニュアンスのことを言うと、迫力が違う。日本のソフト会社の経営者であり、ベンチャーの理解者としてご高名な、ビル・トッテン氏。日本に帰化されたそうだが、祖国を罵倒するにも、感情の高ぶりを隠そうともしない勇気には、恐れ入った。

その蛮勇とも言える言葉の切れ味で、かなり面白く読ませてくれる。

日本は略奪国家アメリカを棄てよ―グローバリゼーションも共同幻想も必要ない Book 日本は略奪国家アメリカを棄てよ―グローバリゼーションも共同幻想も必要ない

著者:ビル・トッテン
販売元:ビジネス社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

内容が目新しいかは置いといて、毒舌炸裂、日曜朝のテレビで野球界のご意見番が見せる『喝!』を思わせる。

本書中では、米国内に格差を撒き散らした元凶の一つとして、ウォルマートを吊るし上げる。創業者は立志伝中の人。起業を語る際にはしばしば引き合いに出される。また、パンパースとビールのバスケット解析がデータマイニングの黎明期にいたる所で語られたように、ITを駆使して徹底的に最適化された経営でも知られる。

このようにいいとこばかり報じられてきたウォルマートが、出店によって地域の事業者を壊滅させ、労働者の賃金を下げ、撤退となれば今度は生活者を苦しめるという。だが、安売りの大規模店舗なら同じ問題は起こすわけで、それはウォルマートだけでなく、米国のほかのチェーンでも、そう。ただ、従業員の給与水準が低すぎて、生活保護を受けるワーキングプアを量産するという、行き過ぎ、その馬鹿馬鹿しさが、あの国らしい。

安売り大規模店舗が地域に与える問題は、日本とて同じ。長い目で見て、地域の住民にも事業者にもマイナスの効果の懸念大と、議会と行政が意見の一致を見るならば、そうした店舗の出店を不許可とする必要もあるだろう。

ここは日本であって、制約の無い自由競争が保障されているわけではない。世界で唯一成功した社会主義国と呼ばれることもあるのだ。

さて、近隣の市における大規模開発プロジェクトで、某量販店の進出が行政に拒絶されたことがあった。その理由は渋滞がどうのこうのというものだった。まあ、そうなのだろうけど、背後には地域経済の秩序破壊阻止という配慮が働いたとは考え過ぎか。

『欲』というのは、日本では、あっても見せないのが美徳。不思議なことだが、貧乏人には欲が無くて、金が貯まると欲が出る。欲がないから貧乏人なのか。

国も大きくなると欲が深まり貪欲に至る。拝金を是とし、欲を剥き出しに利益だけ収奪する。そんなような大国の間隙で生き残ってゆくには、やっぱりネットワークの力。

あの国に任しといても利己的なグローバリゼーションしか出てこない。より互恵的なグローバル・ネットワークを日本が率先して作り上げてみせる、そのぐらいの志の高さが必要なのだろう。今は外交音痴だろうと。

美徳の国。美学の国。リスペクトされる国であり続けたいものだ。

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2007年4月21日 (土)

最強の男は不戦勝で勝ち続ける:『水上のパッサカリア』

ヒロインは理想のオンナ。だが意地悪く言えば、オトコに都合がいいという意味での、男性にとって理想の女性像。オトコに尽くすオンナ。オトコの言うなりになるオンナ。

社会進出して主張する最近の女性達とは対極をなす、蹂躙され、収奪される、伝統的な性のステレオタイプ。

それを書いてるのがママさん作家というのがビックリ。

ヒロインに不幸は後から後からやって来る。最初から故人でヒーローの回想に登場するようでは、あまりに儚い存在感。薄幸の佳人ならまだしも、蛙のような顔と評されては、本質は高潔な精神性、あるいは純粋にスピリチュアルな存在、観音様が衆生を救済するというような、宗教的メタファーがそこにあるのかとも勘繰ってしまう。

水上のパッサカリア Book 水上のパッサカリア

著者:海野 碧
販売元:光文社
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パッサカリアは筋の本質にかかわりないから、ドドンパでもハワイアンでもいいじゃん。てな考え方もありそうに見えて、そうでもない。堅く渋いクラシックを好む設定、賢いオンナを想像させる意図がある。フーガでもトッカータでもいいが、マンボやルンバはあり得ない。ソナタでもなくロンドでもなく、パッサカリア。学校で教えてくれなくて皆があまり知らないところがミソ、かな?

海外で訓練された人間凶器がヒーローなのに、大量破壊に殺戮の連続なんてシナリオになってこない。バイオレンス感、薄し。かわりに、絵画的で耽美的で、牧歌的。

まず戦わない。戦うときは、ひたすら頭を使う。戦わずして勝つ。手を汚さない。平和主義的ピカレスク。

人間凶器の仕事が戦略立案というのも、なんとも禁欲的。逆説的なところは、かの『柔らか戦車』にも通じるような。自己矛盾の美とでもいえばいいのか。

暴力と平和。陽と陰。人間凶器オトコと観音様オンナ。短かったけど、魅かれ合った充実の日々。とても輝いて見えて、いいなあって思えて。ソウルメイトって、そんな感じの2人のことを言うのかもな。

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2007年4月16日 (月)

方言の復権、ビジネス上の事情:『超地域密着マーケティングのススメ』

茅ヶ崎にも方言がある。

『だべ』という、南湖を中心に、関東圏でもそれなりに広域に見られる言葉を代表とする。使われなくなってきたのは事実だが、現存し、今はむしろ誇りをもって、使う人は使っているのだと感じる。

ある時は、秘密結社の符丁、ロコのインサイダーたるアカシのようなものであり、またある時は、ジモティーたるプライドを周囲にさりげなく漂わせる手段ともなりうる。

一方、ごく最近のことであるが、地元レストランの販促用クーポンを配る広告代理店の人が、明らかに意識的に、おそらく東北地方の訛りを前面に出して、戸別訪問営業していたことがあった。そのトークを聞いていて、方言が親しみやすさの演出に効果を発揮していることを感じた。茅ヶ崎で東北訛り、なのにである。

さらに、今日は3大全国新聞社の1つ、東京本部から購読のお誘いの電話営業がかかってきた。これがやはり、きつい訛りを積極的に使った会話。標準語で取り澄ましたクールな営業なら、『間に合ってます』ですぐ終わるのだが、思わず会話に乗ってしまう。

今や、方言はチカラ、そして地域性こそが富の源泉になる時代だ。

超地域密着マーケティングのススメ―小さな会社は当然。大きな会社もおさえておきたい、エリアNo.1に向けた戦略と戦術 Book 超地域密着マーケティングのススメ―小さな会社は当然。大きな会社もおさえておきたい、エリアNo.1に向けた戦略と戦術

著者:平岡 智秀
販売元:クロスメディア・パブリッシング
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早稲田の法学部を中退して実家の和歌山に戻り、家業の水道店を継ぐ。地域密着ビジネスというと、首都圏のエリートサラリーマン殿には馬鹿にされかねないが、ホワイトカラーの仕事まで大量にBRICs + VISTAに流出しつつある昨今、地域密着は生存のための一つのキーワードである。(フリードマン『フラット化する世界』でも理由が説明されてる。)

著者も当初は大きくてクールなビジネスでアイデアを出して行きたかっただろうけど、地域密着ビジネスにも、本気で工夫してゆく価値があり、努力が報われるフィールドであることが実体験として示される。

継げる家業があるのも羨ましく見える時代だが、これだけ変化が激しい状況では、継ぐのも楽ではない。綱渡りの連続にもなりかねないが、一国一城の主という矜持が支えとなる。そして著者の場合は、県内一位というわかりやすい勲章を戦略的に確保したところが、すごい。

超広域商圏のネットビジネスの存在感の拡大とともに、狭域商圏だからこそできる地域密着ビジネスの存在価値、競争安定性が今後際立つと考える。となれば、どのように密着してゆくか、あきんどの暗黙知であって書籍化されにくく共有も進んでいなかった知識だと思うが、それが本を書く力をもった実務者によって、再利用可能の知識となる。

今後、いわゆる『あきんど』の世界のこうしたノウハウを体系化する書籍は増えるだろう。ユダヤの商人ならぬ、華僑の手口ならぬ、日本の風土での商売の極意。それもWeb2.0世代が自分の体験を情報発信するという形で。

ビッグビジネスも面白いけど、ローカルなビジネスもまた独特のやりがいがある。

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日の昇ったり沈んだりの国へ旧超大国から老婆心:『日本の選択』

日本がバブルの絶頂期に、『日はまた沈む』と予言して名を馳せた、著者のビル・エモット氏。その後のどん底の時期には『日はまた昇る』を発表した、逆張りの名手。今度は予言ではない。選択によって未来が大きく異なる、だから選択を誤るなと警告を発する。

今回は知日派英国人アナリスト、ピーター・タスカ氏との対談集。

新超大国化する隣国が、わが国の併呑を虎視眈々と狙う。

日本の選択 Book 日本の選択

著者:ビル・エモット,ピーター・タスカ
販売元:講談社インターナショナル
Amazon.co.jpで詳細を確認する

地球の裏側でご誕生の方々でも、随分日本に住んでて、日本人以上に日本のことを知っているとも言える。メンタリティも半分ぐらいニポン人化しててもよさそうなもんだが、もう他人事のように、ジモティーに厳しいことをあっさり言い放つ。そのうち台湾も半島も併合でしょ。ついでに日本もね。なんて平気で。ガクガクブルブル。

だけど、半島まで向こうに回して、単独で防衛するには距離が近すぎ。最悪の場合、集団移住が必要か。海外脱出できたとして、受け入れてくれる国があったとして、その姿はまさに『日本沈没 第二部』に予言されるもの。

武力侵攻という、絶対阻止したいが可能性ゼロでもない未来。たとえ国土が焦土と化すとも、民が分散され他国に溶け行こうとも、なんとか生き残ってやるぞという、島国の民としての意思表示が、『日本沈没 第二部』の隠されたメッセージであったか。

さながらシルクロードの隊商の民ソグド。

太平洋のど真ん中、南国パラダイスにメガフロートで新国土建設、なんてのもクール。実現可能なら。

さて、本作『日本の選択』では、衝突を抑止するには、東アジア各国との緊密な関係作りが必要と説く。外交による抑止力だ。米国の傘には頼れないかもしれないから保険が必要という、なんとも現実的な話。

元寇のときは、神風が吹いた。現在は、外交ネットワークしか頼るものもない。アジア諸国との間に『ラポール』的信頼関係を。これが和風『万里の長城』として機能してくれることを願ってやまない。

地球の裏側の親日家の視点は貴重。俺様が大英帝国だ、みたいな偉そうなものの言い方が鼻についても、それもご親切、熱きエールとして、感謝したい。

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2007年4月15日 (日)

劇場型情報操作へのクロス・カウンター:『偽装国家』

利権周辺の闇を暴きまくる著者、勝谷誠彦氏の勇気には、いつも感心させられる。

一方で、こういう「危ない」本の出版が出来る日本という国も、まだまだ捨てたものじゃないと感じるのである。そういう誇れるところのある国なら、気概をもって社会悪と対峙する人はいなくならないだろうし、市民にも、地域とか国に自然に愛着は生まれる。

とってつけたような「愛国心」なるものを外から押し付けるとは、これこそ偽装を是とする発想。後ろめたい政治をしてるよと自ら暴露してるようなものだ。

為政者が思っているほどには、勝谷氏が諦観するほどには、この国の民は愚かしくないのではないか。

偽装国家―日本を覆う利権談合共産主義 Book 偽装国家―日本を覆う利権談合共産主義

著者:勝谷 誠彦
販売元:扶桑社
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書いてある内容は、氏のブログ『勝谷誠彦のXXな日々』をまとめたもので、特に目新しい内容も無い。リアルタイムの臨場感も無い。

のではあるが、その無償公開ブログが有料メールマガジンに移行してしまって、こういうのに金を払わない習性の自分としては、こうした「まとめサイト」的な本は、氏の最新の記事を読める唯一のソースとして貴重である。

氏は、「きっこの日記」を背後であやつるジャーナリストの一人ではないかと言われていたが、耐震偽装への取組みなどでは、確かに「きっこ」とよく似た方向性を感じさせる。

とすれば、非常にうがった見方ではあるが、氏が「愚民」と呼ぶ庶民に向けて情報発信するB級メディア(失礼)として設計されたのが「きっこの日記」だったのではないかという仮説もありうるか。

民主主義の主役は氏の言う「愚民」であることは間違いない。この層をどう動かせるか。政治家は偽装によって取り込む。ジャーナリストが仮面をかぶって、フリーのヘアメイクの顔をして庶民に語りかけている、のだとしても、それはそれで、目には目、歯には歯、ということかもしれない。

かくして政治も世論も劇場化が進む。

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2007年4月14日 (土)

バッティングして『陸』となる14のシングル・モルト・ウイスキーたち:『朝日のようにさわやかに』

シングル・モルト・ウイスキーが静かなブームである。

流通量が増えた効果か、今や、ダルウィニー、グレンキンチー、クラガンモアあたりの普及品がここ茅ヶ崎市内のスーパーにも手頃な価格で並ぶようになった。そして、あのオールド・パーのキー・モルトであるとの薀蓄を入れ知恵され、期待を極限まで膨張させて飲んだ、クラガンモア。世界で最も複雑な香りとの評判なんだが、しかしなんだか拍子抜けするような、そっけない味わい。そりゃ5千円ぐらいのブレンドの品質と、その素材となる、半額ぐらいのモルトを比較するほうが間違ってるのだが。

恩田陸さんの短編集というのも、素材系のモルト・ウイスキーを各種詰め合わせた、サンプラーのようなものかなあと感じる。

朝日のようにさわやかに Book 朝日のようにさわやかに

著者:恩田 陸
販売元:新潮社
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ご自分でも短編は苦手と仰せのとおり、えー、これで終わっちゃうの、という印象。短編なんだから仕方ないじゃん。しかし、短編で圧倒的な濃密感を見せる作家はいる。恒川光太郎氏の夜市なんてのはその好例だろう。恩田さんの短編は、みずみずしくて、恩田さんらしいのだが、そっけない。さわやか、というよりも。普及価格帯のシングル・モルトと同じような、そっけなさ。

要するに一つのアイデアから一つの短編が作られている。長編には、色々なアイデアが組み合わされて、膨大な背景情報を隠されたメタファーがちりばめられ、ものすごく複雑な味わいとなる様は、ネクロポリスしかり、常野シリーズしかり。

日頃からアイデアの小箱をいっぱい作り貯めておいて、それぞれ膨らませておいて、長編はそれらを組み合わせて作り、そこで使われなかったアイデアを見切る形で短編としてリリースする。在庫一斉処分、なんてことかもしれない。そのうえ、朝日のようにさわやかな作品なんて一つも無い。歪んでたり、暗かったり、なにかしら恩田ワールドの片鱗を感じさせる。

ただし、凡作は皆無。他と組み合わせにくい、一品もの、というニュアンス。社会風刺なんて恩田さんらしからぬテーマあり、『沖で待つ』風の純文学あり、スプラッターも和風スターシップ・トゥルーパーズかよ、みたいな、他では読めない異色作が、ごった煮、闇鍋感覚、だからいつもと別の面白さがある。

冒頭の作から少女漫画趣味を撒き散らしていて、ああ、俺の苦手の側の恩田ワールドだなあと思っても、短編の強み、ちょっと我慢してろよと。すぐに終わって、終わってみればそれなりに面白い。じゃあ、苦手な側の『麦の海』とか『黄昏の百合』やら、前作短編の『図書館』も読んでみようか、そういう気にもなって来る。

んん、なかなか商売上手な作家さんかもしれない。

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2007年4月 6日 (金)

鉄ヲタは時刻表で妄想する:『トーマスクック ヨーロッパ鉄道時刻表 07初夏』

パリ-ストラスブール間のTGV専用線が、この6月10日に開通する。

これまで4時間12分かかっていたのが、2時間19分となる。東京の人なら、ちょっと舞妓はんと京料理でも食べにゆきますか、というノリで、パリからドイツ国境の世界遺産の街に美食を楽しみに行く感覚だろう。もっとも、東京にも最高の京料理の店はあるし、パリには最高峰のレストランが集まっているという、そこまで似た話もまた珍しい。

実際にどういうダイヤで運行されるのかなあと、ちょっと興味があって、トーマスクック時刻表を手に取った。発売されたばかりの2007年初夏号、有効期限なんてのが書かれてて、それが6月9日までとなっている。げげっ、やられた。その上、普通は表紙に続いてヨーロッパの鉄道最新事情を伝える記事があると思ったが、それも無い。これじゃー、本当にただの時刻表だよ。

トーマスクック ヨーロッパ鉄道時刻表 07初夏 Book トーマスクック ヨーロッパ鉄道時刻表 07初夏

販売元:ダイヤモンド社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

って早とちりしたのは、私だけではないでしょう。6月10日以降の時刻表は巻末に付録の形で載っている。ストラスブール行きTGV東線は、パリ東駅ほぼ毎時24分発のエル特急(?)仕立て。ドイツからICEもパリに初登場だ。

その昔、シュツットガルトからパリに戻るのに、一度スイスまで行ってTGVに乗ったという蛮行を思い出した。景色は最高だった。特にスイス。だけど、ほぼ1日という時間と、ユーレイルパス1日分の料金は、無視できない投資。それが6月10日から、3時間39分で到着となる。東京-岡山ぐらいの距離感か。

それにしても、旅行する予定もないのに、時刻表を見て、うひひ、なんて上機嫌になってしまうのは、やっぱり、あれですな。三つ子の魂百まで。自覚症状は無いけど、私はやっぱり、隠れ鉄道オタク、です。

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2007年4月 4日 (水)

粉飾したい気持ちはわかるけどこうしてすぐバレるよ:『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?その2』

一頁に9行しかない。漫画だって、もっと文字が含まれているかも。だが、これがビジネス書のトレンド。9行しか読んでないのに、隣の頁に目を送れる。20行ぐらいで頁がめくれる。読書が嫌いな人、さらに会計なんて鳥肌立っちゃう人、そういう人達が会計のことを勉強したような気になって、自己満足だろうと、幸福になれる本。

なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?~決算書編~誰も教えてくれなかった!裏会計学その2 Book なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?~決算書編~誰も教えてくれなかった!裏会計学その2

著者:小堺 桂悦郎
販売元:フォレスト出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

表紙がピンクなのは、赤字を薄めて覆い隠す、粉飾の色に見えてしまう。この本では、粉飾の典型例まで紹介してある。だけど、中小企業の決算書なんて、きれいごとじゃ済まされないわな。債務超過だろうと、毎年赤字だろうと、不思議なことに回っている会社は驚くほど多い。というより、現金がショートしたら飼ってる羊を売って、現金が余ってきたら換金性の高い貴金属を買う、というように、資金繰りとは太古より続く儀式のようなもの。

ピンクはエロスの色じゃなくて、粉飾の色。ああ、俺様も職業病だ。

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2007年4月 3日 (火)

格言は常識的であるほど奥深し、てか:『3週間続ければ一生が変わる』

新しいことは書いて無いんだが、噛めば咬むほど美味となるスルメの如く、標語が心に馴染んでくる。お題として一日ひとつ、グループで読んで話し合う、そんな小集団活動みたいな使い方もあろう。リッツ・カールトンのクレド・カード、わが社はシャーマ式3週間カード。

3週間続ければ一生が変わる―あなたを変える101の英知 Book 3週間続ければ一生が変わる―あなたを変える101の英知

著者:ロビン シャーマ
販売元:海竜社
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『101の英知』には、映画をみましょうとか、森を歩きましょうとか、日常的な習慣について語られているので、そのうち『教会に行きましょう』と言い出すと思ったが、最後まで出てこない。というより、東洋思想の香りらしきもの漂う、暖かくもまったりとした語り口。ロビン・シャーマ氏の写真を見れば、いわゆるWASP風ではない、原産国不詳のスキンヘッド。

ググッてみれば、ご両親はともにインド系。ご本人はカナダの東端、ハリファクス出身で元敏腕弁護士。大転進なら宗教の域まで飛んでっちゃうのが通例っちゃ通例。今はカリスマ・コーチというところが非凡の限り。

原書『Who will cry when you die?』の出版が1999年、なんで今頃邦訳かと思ったら、和書として続編が出版に。ああ、日本側の都合なわけですか。スパイダーマン『3』公開直前にテレビで『2』を放映するような。それにしても、今回101個も『英知』を披露した後に、またまたよく101個も出せるもんだと驚くばかり。ただし、原書では続編という関係は無いような。

ふと思い出すのが、日めくりカレンダーで今日の標語が出てくるやつ。経文や念仏というのも見た記憶が。毎日唱和するだけで、どんどんよくなる法華の太鼓。またもう一度と読み直せば、また異なるニュアンスが広がる。3週間も繰り返せば、確かに何かは変わりそうな気がしてくる。

自分の場合は、まず14番目の英知、早起きから始めよう。

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2007年4月 2日 (月)

読み手不在の小説という独善:『巨船ベラス・レトラス』

芸術であるなら、マジョリティに媚びる必要もなく、独善も無問題。しかし、出版不況を嘆くとなると、そこに視野狭窄や、過去の栄光への執着、そういった進歩とは逆のベクトルの存在を疑わせる。絶世の美女という登場人物『村雨澄子』の言葉を借りれば、『先生はお歳を召したのだと思います』と。

なけなしの金で買った本に、怒りにまかせて氏の著作権被害事件の訴訟経緯を書きなぐってあるようでは、読み手への配慮不在。書き手の傲慢が炸裂と取られてもいたしかたない。途中までぐいぐいと盛り上げといて、終盤で台無し。なんじゃこれで終わりかい、という残念な結末。これじゃ誰も本を買わなくなるわな。

巨船ベラス・レトラス Book 巨船ベラス・レトラス

著者:筒井 康隆
販売元:文藝春秋
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印税10%を無批判で受け入れていると見えるが、他の90%を払いたくないから本を買わない。一冊の読書料114円なら、少なく見積もっても、日本の人口の0.5%が氏の作を読むだろう。5千万円超の売り上げは悪くない印税となるはず。紙に印刷すること、流通コストをかけること、大量の返品を処理すること、これらを改善することで、読み手から作者へ直接印税が渡る形で、価格破壊が進みうる。

となれば、文学不況はなくなる。要は出版不況。これはメディアの変質による構造問題に帰着する。時代の流れだ。

文学も芸術。過酷な競争を経て大家が生まれるのでしょう。芸術となれば、企業も支援し、富裕層のタニマチもつく。

それ以外は、売れるものを作る人達が経済原則下で活躍して然る。マジョリティはこちらだ。マス層消費向けの量産作品がディスポーザブルの如く扱われても、その使命はきっちり果たしている。文学芸術の先細りという問題はそこには無い。著作の大衆化という社会現象がそこにあるだけだ。

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ホイチョイを文字化したような野暮:『だめんず症候群』

漫画『だめんず』のシュール(?)な絵もいいし、テレビに登場するくらたま女史の容貌も、そのキツイお言葉と組み合わさって、いい味を出している。逆にいえば、視覚的インプットが無い状態で、歯にもの着せぬ表現は、文字を『読む』というちょっとした『苦行』に打ち勝つほどに『面白い』のかどうか、結構微妙なところと思う。

だめんず症候群 Book だめんず症候群

著者:倉田 真由美
販売元:扶桑社
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駄目なオトコのステレオタイプは、心理学系の本をときどき読んじゃうなんちゃってインテリかもしれない人達には、表層的に過ぎるかもしれない。シリアスな人生相談とか、男女関係のマジなアドバイスのように偽装(?)されているのだけど、要するに全部ギャグとして読むべきなんだろう。

なにしろ『だめんず』から派生した本だ。

しかし、最初の20頁、だめんず症候群の基礎知識の前半部分には、目から鱗の有難コンテンツが含まれる。そこで勢いをつけて一気に読んでしまわないと、途中で飽きてきちゃうかもしれない。

『くらたま』とか『だめんず』はビジュアル無しでは辛い。

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2007年4月 1日 (日)

世界の最新列車事情に鉄ヲタまっしぐら:今すぐ乗りたい!「世界名列車」の旅

子供の頃は鉄道大好き。

それがいつの間にか、車マニア。そして今やトレッキング、歩くの大好き。登山ブーム、それもどちらかというと年齢がハイの人達に受け入れられてきた状況あってのものでは決してないが、環境指向というか、単に流されやすいというのか、テニスよりも、ゴルフよりも、湘南海岸サイクリングコースを歩くほうが今は性に合っている。

シルクロードのDVDを見ても、のんびり旅するのはいいなあなんて無責任に牧歌的な誤解をして憧れている中央アジア、その鉄道の写真が表紙を飾る本を見かけて、心ときめかぬわけがない。さっそく手にとって、貪るように読んだ。

今すぐ乗りたい!「世界名列車」の旅 Book 今すぐ乗りたい!「世界名列車」の旅

著者:櫻井 寛
販売元:新潮社
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あのボンバルディア社が作った客車でラサにゆく。今をときめく青蔵鉄道の旅も、ウルムチまでのシルクロード列車の様子も、鉄ヲタのDNAに組み込まれた飢餓感を刺激するほどに魅力的だ。

ただ、惜しむらくは、写真がモノクロ、そして各記事が短い。日経新聞の連載記事を集めたものだからいたしかたないが、こういうダイジェスト版のような本とは別に、各記事にボリュームを加えて、さらに最新情報で更新したような作品がぜひ欲しいなあと感じさせる。

今、アジアの鉄道が旬だ。

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