99・9%は仮説:科学史・科学哲学・バカの壁
かつて通ったキャンパスには、科学史・科学哲学、という学科があった。当時、ぎんぎんにサイエンス指向の青いわたし、ブルーバックスかぶれで、文系の香りの境界領域には全然興味をおぼえなかった。面白いのにね。若さゆえの、視野狭窄。
科学は哲学。それが実感されるのは、ちょっとおやじ入った頃でしたよ、なんてんじゃあ、いささか晩生過ぎだわな。
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99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 著者:竹内 薫 |
この本の冒頭、飛行機がなぜ飛ぶのか、実はよくわかっていない、という驚愕の事実。そうさな。あんな巨大な金属の塊が空飛ぶわきゃない。前からオカシいと思っていた。だから窓際の席は避けるようにしている。離着陸時は眼をつぶって耳をふさいでいる。というか、なるべく新幹線にしている。そういう諸兄も中にはいらっしゃるでしょう。
昨日明らかだと思われた理論が今日反証され、危機に瀕する。科学理論は変る。民の世界観も変る。だから何でも懐疑的に見ろよ、そう囁く理性の声。じゃ、哲学だけ不変なのか。というより、科学の体系をすべて仮説として、反証しうるものと扱うこと。科学を哲学の枠組みで整理してとらえる、それがこの本に底流する主張と読んだ。
宗教だろうと、各教派で『原理主義』と呼ばれる方々を除けば、それぞれの時代の最新科学の知見が教義やその世界観に大きく影響を与える。だが、宗教が科学に大きな影響力をもった時代。教義と世界観を否定しかねない仮説は、口にすることすら難しい。宗教と科学のデッドロック状態。ともに進歩が止まる。
ブレイクスルーには破壊者が必要であった。破壊者は、宗教的に常識とされた仮説を疑ってかかり、対抗する仮説を立て、データによって実証し、既存の仮説に反証を示すことで勝利した。なんだか、科学じゃないけど、破壊者が必要なんてーのが、現代の各方面でもありがちな構図だわな。で、この本をビジネス書と勘違いして読み始めたわたし、なんだか、妙に考えるヒントをいただいたような、ふつふつと感謝の想いが今。
常識を信じるな。固定観念を疑え、捨てろ。養老先生の『バカの壁』と共通の提言。養老先生の大脳生理学、竹内さんの物理学。それにしても、宇宙論といい素粒子論といい、なんだか物理学のフロンティアは、民の日常生活からぶっ飛んで、凡人の直観から乖離しちゃって、もはや理解不能。いや、理解不能だからこそ、もっと知りたい、ちょっと自虐的な知的欲求だったりする。
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