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2006年8月

2006年8月 7日 (月)

陽気なギャングが地球を回す:スピード感が命、だから倍速で読め

映画化されて、図書館の予約待ち人数も増えた。やっと順番が回ってきた本だが、第2作『日常と襲撃』以上に第2作らしい。銀行強盗団発足の経緯をしっかりと詳細に描写してもいいじゃん。

陽気なギャングが地球を回す Book 陽気なギャングが地球を回す

著者:伊坂 幸太郎
販売元:祥伝社
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登場人物が魅力的。だからシリーズ物として価値があると思う。でも、4人の詳細のプロファイルがむしろ第2巻の『日常と襲撃』で具体的にイメージできるのはなぜか。第2巻だけで十分面白い娯楽小説として成立する。第1作がアレで、次作が面白いというのは、初めての経験かな。だんだん面白くなる稀有なパターンかもしれない。

時間を『つぶす』ほど時間に余裕のある人が羨ましいが、つぶすには最高の道具の一つ。面白いというのと、映画化されやすいというのはかなり違う。時間をつぶしたい人にお薦めだけど、じっくり時間をかけるより、倍速、というか斜めに読んだほうが楽しいかもね。

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2006年8月 5日 (土)

国家の品格:ネオコンの吐く毒、やはり毒をもって制すということか

最強の潜伏型生物兵器プリオンを、同盟国だろうとなんだろうと強硬に押し込んでくる『かの国』のやり方に辟易として、国粋極右勢力の側にいささか重心を移したくなってくるのは人情。だが、この書のようにあからさまに書いてしまうのは、勇気があると言うのか、はたまた、、、いずれにせよ著者の度胸をリスペクトすべきで、賛否はさておき、まず読んどけ、話はそれからだ、そういう本だと思う。

国家の品格 Book 国家の品格

著者:藤原 正彦
販売元:新潮社
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突然海外での「ガイジン」生活に放り込まれた日本人の典型的不適応反応が、

★1★ 日本人は最高の選ばれた民族イズムに逃避し、周囲を見なくなる。
★2★ 日本人は駄目ダメだけど、俺は国際人だからと、劣等感を転嫁する。

というのは昔からよく言われるね。だけど、欧米生活も豊富な国際派数学者様が、★1★みたいな御高説をのたまわれるのは、なぜか。駄目だダメだと言われ続けて最近は自信を失いかけている民、その心の隙に入り込む巧みな弁舌は、喪黒福造(笑うせーるすまん)のそれを思わせる。そしてその民の心の様は、右傾化してカギ十字の勃興を許した第一次大戦後の独逸に、よく似た香ばしさであったような。

もっとも、かの国を支配するネオコンとはこういう国粋極右勢力以外の何者でもないわけで。グローバリズムはかの国のプロパガンダ、かの国のナショナリズム、著者のかくいう言説も、あははは、そうだよねって、あえて口には出さないけど、よくぞ言ってくれた。毒をもって毒を制す、そういう主張とお見受けした。

他にも、『情緒』の位置づけについて、強く共感できる。情緒の共有、それが単一民族の(95%超がよく似たプロファイルをもつという)民を束ねてくることに役立ってきた。厳密な『ルール』を定めておく必要がなかった。定めるのは無粋と忌避された。代わりに、美学が暗黙の統制力だった。とすれば、この国は移民を受け入れる準備ができていない。『論理』を対話の土台とする習慣が無い。トフラーさんや大前さんの言う移民受け入れを進めても、特異であることに価値があった文化や環境をいたずらに破壊して民を不幸にするだけではないかと。こう考えてしまうあたり、自分もやっぱり偏狭なローカル人間かなと思うのではあるが。

一つ気になって読んでいたのだが、著者の他に、著者の主張を完全否定する存在を示唆して書かれている点。批判者は奥様だったりするが、実は冷静な『自分』、理性だったりするのではないか。とすれば、この書は、ディベート的な構図で向こう側に仮に設定された対抗意見の書。実はそんなことは考えてないが、論点を整理するために、わざわざ両極に置かれた極論。誰も書いてくれないから書いた。書くとすればそうなるという、批判されるための本。もしかしたら、そういう意図が当初はあったかもしれない。

だが、今や、藤原正彦といえば、国家の品格の人で、立派な和製ネオコンと思われているわけだ。本人が望むと望まざるとにかかわらず。

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2006年8月 4日 (金)

グローバリゼーション3.0関連書、目から落ちた鱗の枚数最大級

グローバル経済本(以下グロ本と略称)が旬だ。アマゾンにて「この本を買った人は、、、」で類書を探し、図書館で借りる。広く情報収集したいときは、それぞれ斜め読み、正確には、目次から選んだ章だけ斜め読みするから、間引き読みだ。

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 Book ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略

著者:C.K.プラハラード
販売元:英治出版
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「貧困層」を「顧客」にとは、怪しげな商売の話かと思ったら、大真面目な社会派のグロ本。後半に事例も豊富、だけどそれは前半の論説の傍証。核たる主張は最初のほうに整理されているのが有難い。

ピラミッド型の所得分布を、ピラミッドもう一個を逆さにして下にくっつけたような「ダイヤモンド型」にすること、すなわち中間層を膨らますことが貧困撲滅の秘訣。ここまではグロ本で常識的。加えて、類書には無い具体論・成功事例が、この本の価値を際立たせる。

途上国の貧困層相手に儲ける話、それも同時に貧困層を幸福にしちゃう到底信じがたい玉虫色プラン。この逆説的な理屈が強烈な説得力をもって、鱗を一枚、また一枚と。

BRICsの成長余地とは、貧困層の向上心。トフラーとかフリードマンのグロ本では沈没を宣告された国の人として厭世観をもっちゃったりするんだが、この本の切り口で説明されると、気が大きくなって自分がBRICs市場を開拓したくなるというかアイデアが浮かんでくる気が。実際には身近からなんだが。そちらの方向なら、少子高齢化で格差社会へ進む「おらが国」でのビジネスを、類推をもって考える上での、ヒントにもなるような。

今日が返却期限だったのが残念。で、間引き読みしたもう一冊。

ザ・サーチ グーグルが世界を変えた Book ザ・サーチ グーグルが世界を変えた

著者:ジョン・バッテル
販売元:日経BP社
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こちらはWeb2.0系の本(以下ウ2本と略称)。現代のスター、Googleを語る本は多いが、Google誕生史まで詳細にレポートする本は珍しい。歴史の証人。インサイドストーリー。

バズワード「Web2.0」のお祭りの勢いで出てきた類のウ2本とは一線を画す。だけど、この手の本は驚異的な速度で陳腐化する。今後の内容がすでに昨日の話。出版からわずか3四半期で、歴史書の仲間入り、かな。ウ2本の宿命。

ところで、あのー、この本でも新サービスとして紹介されていた、Googleアドワーズ広告のCPM(表示単価)を指定するヤツ、端金だと全然広告表示してくれないんですけど。ロングテールって言っても、お前んとこまで尻尾が長いわけねーだろってことでしょうか?

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