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2006年5月

2006年5月28日 (日)

チーム・バチスタの栄光:医龍との酷似は確信犯かな

フジテレビが現在木曜10時に放送する話題のドラマ「医龍」では、心臓外科治療の新しい手法であるバチスタ手術をめぐる、大学病院の権力闘争と愛憎模様を描く。同じバチスタ手術をテーマとする「チーム・バチスタの栄光」は、バチスタという名称がそもそも聞きなれない語であることもあって、医龍の原作と誤解している人も少なからずいるようだ。

チーム・バチスタの栄光 Book チーム・バチスタの栄光

著者:海堂 尊
販売元:宝島社
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この書籍では、権力闘争は主題でなく、手術の失敗が過誤か犯罪かを明らかにしてゆく推理ドラマ、むしろ探偵モノに近い。そしてそこには医療関係者としての、第三者による医療監査の必要性に関するメッセージが、ある程度含まれていると思われる。

外科医、大学病院、権力闘争、という視点からは、ドラマの医龍の構成は「白い巨塔」に近い。原作のコミック「医龍」は漫画としての面白さに徹しているとされる。ドラマ的な味付けは、テレビ制作側によるものか。それにしてもドラマ医龍は、「画」的にとても美しい作りが印象的だ。

そして気になる、医龍と小説「チーム・バチスタ」の類似性である。舞台設定は似ているが、内容は全く別物。背後に同一人物がいます、なんてオチはあるかもしれない。小説でのバチスタ外科医は「桐生」、K-iryuu、K-医龍。これ、遊びでわざとやってんでしょ。

むしろ小説のほうで印象的なのは軽妙な語り口。ブログ小説みたいだなんて言う人もいるように、「てんこもり」なんて語が何回も出て来る。だが、これは意図的にソフトなタッチにしたのではないか。ブログを大真面目に書くと、思いっきり堅苦しい文章になって、読む人が楽しくないので、意図的に文体を躍らせている人は少なくない。360頁を楽しく一気に読めるのは、著者の筆の力と感じる。

小説家を生業とする人以外に、書くべきコンテンツをもっている人が、その人しか書き得ない専門的な内容を含む著作をする、大歓迎すべき流行。著作すること、その敷居が下がってきているのは、やはりブログの普及による効果だと思う。ネットに適した文体、2chの用語から、眞鍋かをりさんの「オイラ」文体を経て、しょこたんの「めぽー」みたいなマニアックな表現へ。およそ紙文化の文学としては成立しえなかった表現が、読んで楽しいという実益において凌駕すらしうる。お堅い内容をお堅く書くかわりに、どーだおもしろいだろーと、読みやすく書いて裾野を広げる。今後、こういう文体の著作物が増えることは間違いないと思う。

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2006年5月27日 (土)

LOHASに暮らす:生き方の方向がずずずっと変るかもしれないメッセージ

流行語を含む新刊書を図書館でみつけて、期待せずに借りて読んだが、これは興味深くも感銘を受ける良書。LOHASが「地球」じゃなくて「自分」から話が始まることで、無理なく受け入れられるライフスタイル提案であること。わかりやすく、米国人ではなくデンマーク人というちょっとユニークな視点から、日本の今後について、友情に満ちたメッセージが贈られている。

LOHASに暮らす Book LOHASに暮らす

著者:ピーター・D. ピーダーセン
販売元:ビジネス社
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LOHASの概念そのものは米国発だが、京都議定書に調印しようとしない国から発信される環境関連のアイデアでは、なんのこっちゃと、とりあえず斜に構えて話を聞くこととなる。だが、著者は生まれも育ちもデンマーク、環境先進国(?)の出身だ。最近は迷走しがちなわが国、外の視点から、いろいろの立場で、様々の意見を聞かせてほしいという意味で、貴重なメッセージが含まれている。

LOHASは何となく理解しているつもりでも、エコとどう違うかというあたり、わかりやすく説明されていて、なるほど共感のもてる内容であることがよくわかった。また、LOHAS実践者であるパタゴニア社等の実例も説得力がある。現在パタゴニア地域の動物環境の維持にパタゴニア社が重要な貢献をしようとしている姿が、最近テレビ番組で報じられた。そこでは、急に持ち上がった水力発電用のダム開発話で、動物生息環境が再び破壊される懸念についても紹介された。水力発電は温暖化防止にも繋がるが、生態系は完全に破壊される。

LOHAS的環境主義と地球環境保護が衝突する信じがたい光景だった。環境関連のアクティビティも単純な構造にはなっていない。

この本は、LOHASはすごいぞというプロパガンダをめざしたものというより、これからあなたの生活はどうしてゆくんですかという、問題提起の書だと思う。LOHASというのは特定のライフスタイルを定義するというより、日々の生活においてアンテナを張り、「よく考え」、自分の納得できる人生のために行動したほうがいいよ、そういう「姿勢」に関する提案なのかなと、おぼろげながらその「心」を見た感じがする。

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2006年5月23日 (火)

2010年の日本 雇用社会から起業社会へ:明快、明解ゆえにふつふつとわく疑念

野村総研の未来創発2010シリーズ3作の中で、この作は相対的に社会予測に軸足を置く内容。優秀なコンサルが集まって仮設構築しただけあって、まず面白い。統計や調査結果を効果的に用いているのだが、そこから平均をとって凡庸な結論を得るかわりに、むしろ特異な事例から「なんでだろー」と分析を起こすほうに価値を見出しているようにも見える。

2010年の日本―雇用社会から起業社会へ Book 2010年の日本―雇用社会から起業社会へ

著者:野村総合研究所,山田 澤明,神尾 文彦,齊藤 義明,井上 泰一
販売元:東洋経済新報社
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気になるのが、教科書的でいかにも破綻のない、起業社会になるよという結論。それも、組織が人を活用するのが雇用社会で、人が組織を活用するのが起業社会、という明解な説明付きだ。わかりやすいがゆえに、上場企業の1/3で記録更新の好決算という最新の経過が、この本のトレンド予測と微妙に違うニュアンスを含んでいるんじゃないかという気がしてくる。

好景気は大企業の周辺で起きている。中小企業は概して景気回復の恩恵の外側にいる。団塊世代の離脱はあっても、2010年という近未来には、大企業主導の経済に大きな変化は無いんじゃないか。というより、極論を許してもらえば、大企業が総じて安泰のほうが、日本の国民は平均的に幸福でしたというオチ。そうなる確率の方が高いんじゃないか、この5月の状況を見ているとそう感じてくる。

ただし、起業から成功者への所要時間は確実に短縮され、IPOまでわずか5年程度、すぐに結果が出るようになった。リスクの大きいことに変りはないんだが、挑戦への敷居なんて今は無いようなもんだし、成功報酬はやはり極めて大きい。

となると、この書籍では示唆するに留めていたが、年金を確保している団塊世代、なんで起業せんかな。コンサルタントさん達が到達した本当の結論は、そっちだったんじゃないかと。65歳で起業したカーネル・サンダースのようなサクセスストーリーが日本でも量産され、起業意欲を欠くというわが国の問題が一気に吹っ飛びましたとさ。セカンドライフが国も人も救う、そんな話なんじゃないかと。

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2006年5月20日 (土)

終末のフール:未来に希望の持てない現代を風刺したわけでもなく、SFスペクタクルでもなく

伊坂幸太郎氏の小説を初めて読みましたよ、なんて言っちゃっている時点で、ああ、俺ってやっぱりそれほど小説に興味があるわけじゃなかったんだねと自覚するわけです。さらにいえば、最初に読む本として正しい選択じゃなかったために、はげしく読み違いをしちゃいましたか、そういう懸念すらあるわけで。

終末のフール Book 終末のフール

著者:伊坂 幸太郎
販売元:集英社
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小天体があと3年で地球に衝突するという、1998年に同時公開された「アルマゲドン」と「ディープ・インパクト」で描かれたテーマ。映画はSFスペクタクルで、2機のチタン製スペースシャトル、はたまた巨大宇宙船で突っ込んで、ともに彗星を爆破して地球を救う!

ハリウッド、そしてブルースウィルスならではの痛快アクションの「アルマゲドン」は、わかりやすいカタルシスの双璧をなす、米国万歳「インディペンデンスデイ」を思い出ださせますな。

一方の「ディープインパクト」は心理描写志向。絶体絶命の危機を前に和解する父と娘、天文学的距離を隔てた若い家族、人間模様さまざま。そしてモーガンフリーマン演じる米国大統領の苦渋の表情、現実世界で悩める国連アナン事務総長を彷彿とさせる偶然の隠し味。抑えの効いたスペースアクションもあいまって、大洪水、シェルターという現代の箱舟、ギミックてんこもり、ガジェットのオールキャストで大団円へ突入する。

こういったエンターテイメントの話題作を思い出すにつけ、終末のフールで登場する家族模様は、日本的機微に満ち満ちているというか、いたって地味というか。素人なりに勝手なことを言わせていただいちゃうと、天体衝突という突飛な設定は、要するに「遊び」的思い付き、共通のお題だったんじゃないのかい。ストーリーがオムニバス風で断片的なのは、連載を単行本化するとこうなるのだろうが、登場人物の空間的(!★□○▲!)な関連性が途中から徐々に見えて来るというのは、ミステリーでもない本作で、いかがだったんだろうか。

格差社会になって、大多数の人には未来に全然希望が持てないのは5年後に世界が終焉する世界観と驚くほど似ていると思う。高齢化社会を「銀齢の果て」ではちゃめちゃに斬るようなぶっとび感で、閉塞感に覆われた社会を風刺する、てな書き方も、あるいはあったんじゃないか。まあ、それをやっちゃうと分別臭い社会派の凡作、なんてことになってしまいがちなんでしょうがね。

じゃあ、この有名小説家の先生様、いつもはどんなの書くのかと、逆に気になってきた。

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2006年5月18日 (木)

ハードディスクが破損する瞬間

サーバーもデスクトップも、PCは基本的に自作する。ノートだけメーカー製。そういう自作派の方は少なくないと思う。パーツのやりくりの都合もあって、部品を統一してまとめて買い込む形になる。その結果、ある時期に特定の種類の部品が一斉に壊れ始める。そして今、電源と、ハードディスクがその破損時期にあるようだ。

ハードディスクは、H社に売却される前のI社のものを多く使っている。今日は、そのデスクトップ機の一台でテレビを見ていたとき、突然テレビの画像が固まって、例の「かっちーん、かっちーん」というハードディスク破損特有の音が始まった。強制終了して再起動すると、すでにハードディスクを認識しない。典型的な破損。しかし、壊れる瞬間を見たのは初めてだ。

今月はサーバーのRAIDのミラーの片側が破損したなんてこともあった。工業製品の寿命というのは、予想以上に正確に尽きるように出来ているのかもしれないと、ちょっと驚いていたりする。

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2006年5月17日 (水)

千円札は拾うな、拾いたい日もあったりするわけだが

前々回の記事「千円札は拾うな」にちょっと関係して、考えたことを。

本日、関西の同業の会社様からお電話をいただいた。家電量販店チェーンのお客様サポートの神奈川県分、担当してくれるところを探しているとのこと。お手伝いさせていただいても問題無い内容で、弊ホームページを御覧いただいてお電話下さったことは光栄の限り。だが、お客様のお支払いになる金額の半分以上がマージン。とても下品な言い方をお許しいただけるならば、半分以上ピンはねされる下請け、ということ。

お客様としては、支払った料金の半分以上が中間マージンに消えることがわかってるなら、ちゃんとした地域業者に直接電話したほうが、安上がりだし、きめ細かく継続的な対応が期待できるわで、いいに決まっている。なのにそうなってないのは、私達地域業者の知名度向上の努力不足。

だけど拾っちゃいけない千円札。一度拾えば千円の商売が身に付く。数万円の価値を一万円弱の価格でどうぞ、という高付加価値を標榜する今のビジネスモデルを堅持したい。ダンピング受注は近隣の相場に悪影響を与え、サービス品質の低下を招いてお客様に不利益となり、業界への信頼度低下となり、巡りめぐって、いずれ我が身にはね返ってくる。

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2006年5月15日 (月)

エーゲ 永遠回帰の海:写真集みたいな紀行で古代史・宗教観のディープな世界へといざなわれ

島を埋める真っ白な壁の建物、碧い空、リゾート、そしてロマンス。エーゲ海のそうした通俗的で軽薄なステレオタイプをはなから裏切る、古代史、そして宗教というディープなテーマ。しかし、ダ・ヴィンチ・コード以来、ここ数年の流行ともいえる話題だ。20年の時を経ての出版だが、とても新鮮に感じる。

エーゲ―永遠回帰の海 Book エーゲ―永遠回帰の海

著者:須田 慎太郎,立花 隆
販売元:書籍情報社
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立花隆氏と写真家の須田慎太郎氏が40日間でエーゲ海の外周を一周した紀行。しかし頁数の半分を写真が占める異色の構成。写真の多くが遺跡というか古代都市の廃墟。写真集として眺めても飽きない。立花隆氏の筆が加わることで、キリスト教発祥と拡大の時代の考証絵巻となる。

キリスト教的世界観では、信者は死んでも死なない。いつかハルマゲドンがあって、復活の日が来る。時間軸は直線的だ。しかし著者は、廃墟を見てその背後に語られない歴史が繰り返されてきたことを感じ取り、時間軸が円環を描き、キリスト教的世界観も歴史の永遠回帰の環として考えるに至る。

それにしても、立花隆氏が、哲学史とか宗教とか、これほど造詣が深いのかと今初めて驚いているようでは、なんとも不勉強で恥ずかしい限り。

余談ではあるが、恩田陸さんの「ネクロポリス」を読んだとき、ネクロポリスという概念がいまひとつピンと来なかったんだが、この本の中で、水路の途中の断崖を刻んで作った巨大な墓、さらに城壁の外に並ぶという巨大な石棺群の写真で、ははんと、はじめて直観的に理解できた。

自分がそういう本を選んで読んでいる結果なんだろうが、ユダの福音書まで出てきた今、古代史、宗教、そういうテーマがとても面白い。世界史をもっと勉強しておけばよかった。

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2006年5月 8日 (月)

千円札は拾うな:経営者に変化が必要と自覚させるため、だが万人向けの『常識破壊』処方撰集

「ばかの壁」経営実学版。常識を捨てよ。それがこの本のメッセージ。「はじめに」の数頁で「なるほど」とまず感じることでしょう。

千円札は拾うな。 Book 千円札は拾うな。

著者:安田 佳生
販売元:サンマーク出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

千円札どころか、100円玉でも嬉々として拾っちゃう(ヤマダ電機で来店ポイントを貯めてる)ようなデフレ脳のワタシには、きっびしぃ~お話。ずぼし。核心を突かれて、カチンときて、逆切れして、毒づいた記事を書いて、削除して、当たり障り無く面白くもなんとも無い内容で差し替えているあなた(= )が、この本に書かれている、常識が作る結界に封じ込められた人の典型例なのですよ、とね。

木を見て森を見ず、といったよく知られている喩え。経営者は成功体験を重ねるうちに知らず知らず視野狭窄となり、独力脱出不可能の迷路に迷い込む。その救助隊であるコンサルタントとしても、経営者自身が納得しない処方の実効の乏しいことを見て知っている。

だから、固定観念が障害となっていることを経営者自身が悟り、そうありたい姿へ率先して手を打ってゆけるよう、きっかけを与える喩え話集、そう読ませてもらった。読者の知的好奇心を刺激して興味が持続するよう、「常識」に逆行する挑発的な話が並ぶ。あの「さおだけ屋はなぜ潰れないか」的なツカミ方である。いい男の選び方など、あらゆる人に役立ち、楽しめる内容が散りばめられている。

常識を疑え、変化を志向しろ、そういう最近流行の啓蒙書と共通性のあるテーマだが、今をときめくIT社長の筆の力によって、面白おかしく最後まで読み切ることができる。新しいことは何一つ書いてないという辛口の意見もありえるだろうが、楽しみながら有益なアイデアを吸収したい人達がとても多いことは、出版後2ヶ月で第9刷という巻末の書誌情報が物語っている。

「いいこと」なんて書いてなくていいから、わたしの頭の体操になる本、発想に刺激となる本がほしいというビジネスマン諸兄には、やはりとても有益な本だと、瞬間湯沸かし器から醒めて冷静になったアタマでそう感じている。

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2006年5月 2日 (火)

押し売り恫喝型のトロイの木馬、最近巷を騒がすモノ

今日はパソコンのセキュリティのお話。

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が本日発表した「コンピュータウィルス届出状況[4月分]について」の中に、今月の呼びかけ、「セキュリティ対策ソフトの押し売りに注意!! ーー 怪しげな警告を真に受けるな !! ーー」というのがある。そこでは特定ソフトを名指しすることは避けているが、画面例を見れば、それはこのブログのサイドバーのミニブログ(最新が左肩、バックナンバーは右下)にて説明してあるスパイウェアであることは明らか。

 この頁に詳しい説明 ↓
  
続・Philの哲学的な日々「「ブラックウォーム詐欺」にご用心!」

たしかに最近、お客様のWindowsパソコンで、一目でそれとわかる金色の派手な画面によくお目にかかる。動作が重くなって、ネットに繋がらなくなる場合もある。話を聞けば、ある日、「あなたのパソコンは感染している。このソフトを至急ダウンロードしなさい。」と来たという。なんだか振り込め詐欺のやり口に似ている。真実味のある嘘八百を並べたてて相手の不安を煽り、切迫感を演出し、相談の余裕を与えず時間切れで金を払わせる。

パソコンユーザの心理を巧みに突くよう設計されていて、さらにそこそこにまともな実装技術が使われている。いわゆるスクリプトキディの類ではない。感染ルートは他のマルウェアを使って確保との情報もあり、ビジネス、営利事業として組み立てられている。そんな能力があるんなら、まっとうな方向に使えよと、わたしら凡人は考える。だが、凡人の想像を超えて儲かるからやっているのだろう。

ところで、国産のウィルスは世界の視野で見れば少数派である。国民のモラルの高さを喜んでいい。上記のインチキソフトも妙な日本語から海外産と。だがそれは技術力の問題かもしれない。ソフトウェア技術力をもっている層と、犯罪に手を染める誘惑に晒される層が、今のところあまり重ならない。犯罪はせいぜい、メールを使った架空請求ぐらいだ。しかし、リテラシが向上し、ソフト技術がコモディティ(日常的なフツー水準のモノ)化すれば、2つの層は重なり始める。サイバー犯罪の温床となるようでは困る。

最近は押し売り系ソフトもエスカレートして、金を払わなければデータを消去する、と脅すらしい。まるで人質立てこもり事件。1時間に1人づつ、じゃなくて、例えばプログレスバーが表示されて、「これはあなたのファイルの消去状況です」と徐々に進む様を見せられれば、そりゃパニックにもなる。他のトロイの木馬は、ファイルを勝手に暗号化して、3万円強を払えば元に戻してやるよというそうな。

パソコンやデータが人質にとられる。

ファイル共有ソフトを使っていれば、感染リスクは高まる。だが、そうでなくても、平均以上のセキュリティ意識の方のマシンでも感染を見たことがある。こういうご時勢だから、習慣としておかなければならない2点、それは、

  1.日頃のバックアップ

  2.感染リスクの低い使い方

という、何度も聞かされてきた講釈なわけで。

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