チーム・バチスタの栄光:医龍との酷似は確信犯かな
フジテレビが現在木曜10時に放送する話題のドラマ「医龍」では、心臓外科治療の新しい手法であるバチスタ手術をめぐる、大学病院の権力闘争と愛憎模様を描く。同じバチスタ手術をテーマとする「チーム・バチスタの栄光」は、バチスタという名称がそもそも聞きなれない語であることもあって、医龍の原作と誤解している人も少なからずいるようだ。
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チーム・バチスタの栄光 著者:海堂 尊 |
この書籍では、権力闘争は主題でなく、手術の失敗が過誤か犯罪かを明らかにしてゆく推理ドラマ、むしろ探偵モノに近い。そしてそこには医療関係者としての、第三者による医療監査の必要性に関するメッセージが、ある程度含まれていると思われる。
外科医、大学病院、権力闘争、という視点からは、ドラマの医龍の構成は「白い巨塔」に近い。原作のコミック「医龍」は漫画としての面白さに徹しているとされる。ドラマ的な味付けは、テレビ制作側によるものか。それにしてもドラマ医龍は、「画」的にとても美しい作りが印象的だ。
そして気になる、医龍と小説「チーム・バチスタ」の類似性である。舞台設定は似ているが、内容は全く別物。背後に同一人物がいます、なんてオチはあるかもしれない。小説でのバチスタ外科医は「桐生」、K-iryuu、K-医龍。これ、遊びでわざとやってんでしょ。
むしろ小説のほうで印象的なのは軽妙な語り口。ブログ小説みたいだなんて言う人もいるように、「てんこもり」なんて語が何回も出て来る。だが、これは意図的にソフトなタッチにしたのではないか。ブログを大真面目に書くと、思いっきり堅苦しい文章になって、読む人が楽しくないので、意図的に文体を躍らせている人は少なくない。360頁を楽しく一気に読めるのは、著者の筆の力と感じる。
小説家を生業とする人以外に、書くべきコンテンツをもっている人が、その人しか書き得ない専門的な内容を含む著作をする、大歓迎すべき流行。著作すること、その敷居が下がってきているのは、やはりブログの普及による効果だと思う。ネットに適した文体、2chの用語から、眞鍋かをりさんの「オイラ」文体を経て、しょこたんの「めぽー」みたいなマニアックな表現へ。およそ紙文化の文学としては成立しえなかった表現が、読んで楽しいという実益において凌駕すらしうる。お堅い内容をお堅く書くかわりに、どーだおもしろいだろーと、読みやすく書いて裾野を広げる。今後、こういう文体の著作物が増えることは間違いないと思う。
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