小難かしいことはさておき、とにかく面白い、それが一番嬉しい。
フリーメイソンやらイルミナティやら、陰謀論とか秘密結社とかが最高に面白い物語の土台を提供することは、ダ・ヴィンチ・コードの例を見ても明らかだ。しかしその舞台を歴史的蓄積の乏しい新大陸にしてしまうと、ナショナル・トレジャー的なしょぼい結末が運命づけられるのかもしれない。
で、ラングドン教授の活躍の舞台はヨーロッパ、世界はこんなに広いのに、パリとローマという団体さんパック旅行定番コースに縛り付けられる。
では、その歴史的宗教的陰謀論的舞台を日本にした場合、どういう展開がありえるのか。世界的にもユニークな歴史資産の背景があるだけに、いくらでも創造力を駆使して作品を作れるだろうし、妄想力を発揮して作品を楽しむことができるだろう。
宮木あや子さんの「太陽の庭」は、そういうコンテンポラリな素材の組合せの面白さを存分に発揮した快作となっているようで、とても楽しませていただいた。
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太陽の庭 著者:宮木 あや子 |
本作品で構想されているのは、「第二皇室」とでもいうべきだろうか、この世界観がとびきり興味深い。女性の筆で描かれる閨閥、オサーンが読むもんじゃないかもしれないけど、そのヘテロな感受性みたいなもん、餅は餅屋というか、印象的だった。
そしてそろそろ文藝春秋社の社長表彰の季節、私が下読み担当なら、この作品は強めに推薦すると思う。ある意味、ライトでフェミニンなプチ1Q84とも言えるわけで、受賞するかどうかのオッズはさておき、候補の6作には入っていて不思議はないと、市井のアマチュア読書愛好家は感じたわけである。
次回作が売れないともう出版してくれないと心配してた宮木あや子さん。売れているかどうかは存じ上げませんが、SOSのエテコウだ、続悼む人だで、思いっきりガッカリの青春百連発の昨今、久しぶりに文句無く面白いと感じた創作であったわけなので、私は本作に超ポジティブな一票を入れさせていただきたいと存じます。
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