自由でハジケて壊れた世界
草食男子の増殖は今に始まったことではない。
そのことが、何やら昨今世を騒がす結婚詐欺事件からも垣間見える。そこにあるのはあまりに獰猛な肉食獣の欲望の前になすすべもなく蹂躙される姿。非好戦性。相対的な草食性だ。
野放図な市場原理がハチャメチャな強欲拝金主義に至って世界経済をぶち壊したように、欲望を抑制無き状態におけば、どの領域でも概して、とんでもない結果に至る。
NOT : "Greed is Good." Gordon Gecko is back.
最近読んだ『野良女/宮木あや子』。まるでリードを外された猟犬、やりたい放題のヲンナの生き様を描く。女性読者には溜飲を下げるトコでも、オトコ、それもいい年こいたオッサンが読むと、痛快通り越して、不愉快、時間の無駄にまで思えてくる。思わず中抜き、ナナメ飛ばし。じっくり読むのは最初と最後だけ。あの感動大作『群青』の作者さんの本で、こういう読み方になったのは残念だ、ひとえに私個人の不徳のいたすところで。
って、本当にそうか。
読者のレベルに合わせて著者が生活のために迎合した、ってところじゃないのか。
著者のブログによれば、次回作が売れなきゃもう出版しないぞと、出版社から示唆されたとのこと。11月下旬出版の『太陽の庭』、必ず読みます。だけど、この本でまた中抜きナナメ飛ばしになったら、ここにいるお得意さんの常連読者約一名は、名前も忘れちゃうかも。※ そういえば最近物忘れがよくなってきた。
で、本題の『憂鬱たち/金原ひとみ』。
ハチャメチャという意味ではこちらも同じ。だが、御時勢反映、メンヘラーが主役で、同じ3人のキャラを脈絡無き複数の挿話で使いまわすロンド(こういうのロンドぢゃなかったっけ)仕立て。デジャビュな人間関係トライアングルがぐるぐる繰り返されて、めくるめく感がアヴァンギャルドなアートなのだよ感を醸し出す。
面白いのか。
ええ、面白かったですよ。
少なくとも、最初は。
ただ、こう毎回繰り返されると、読者側にもまたかよ感が出てきて、これが笑いに繋がるナイナイの芸風もある一方で、お笑いならぬ文藝では、予測できるというか、最初の刺激が強かっただけに、刺激に耐性ができてきて、もうお腹いっぱいですよ、な気持ちになればもう、ナカ飛ばしを止める力はどこにもない。
読書から何かを得る、なんて下卑た欲を剥き出しにして本を読むなら、名作を読め。ウェルかめを毎回楽しみに見てます最近やっと面白くなってきましたね、なんて言ってる文科省推薦型品行方正でジミな自分は、新しい本にイチイチ手を出すな、ってとこか。
さて、草食男子の対極にいるのが、マッチョな男たち。
オスの本能の命ずるまま生きる。これ、同じオス種として羨ましくあるし、これをヒーローに射影するスタイルを得意技にする作家さんも少なくはない。でも、これ、本当に面白いのかい??? 新堂冬樹さんも、『引き出しの中のラブレター』を書いた人とは思えないほど、バイオレンスやらステレオタイプなヲトナのエンターテインメンツこれでもかこれでもかてんこ盛りの作品を書いてる(というよりそちらが基調、ということでしょうか)。
潰すほど時間を潤沢に保有してらっしゃる恵まれた方御用達、なんて言っては怒られるに違いないが、この手のハチャメチャは、要するにアタシの読者はこの程度でしょ、ていう作家さんのアキラメ観によるという面があるように思う。
時間を買ってまで、それを節約する人。
そういう人には、新しい本は、リスクがとても高い買い物になる。
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